研究課題/領域番号 |
20K01086
|
研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
小池 香津江 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 特別研究員 (00250390)
|
研究分担者 |
水野 敏典 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部企画課, 副主幹 (20301004)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 鉄器生産技術 / 古式土師器 / 地域間交流 / 手工業生産 / 古墳出現期 |
研究実績の概要 |
本研究では、古墳出現前後の手工業製品の代表として鉄器と土器を取りあげ、列島各地の鉄器生産技術系譜と地域間交流の関係を明らかにすることを目的とする。北部九州博多湾沿岸と、古墳時代前期大型前方後円墳が集中する近畿中央部奈良盆地で共通した鉄器生産技術が存在することに着目し、遠隔地型の地域間交流と鉄器生産の技術革新の関係を明らかにしようとする。大型砥石と鏨等の工具類に注目し、各地の鍛冶遺跡の大型利器製作の可能性を検討するとともに、出土土器の分析による地域間交流の検討を行うことで、多くの技術的革新があったと考えられる古墳出現期における手工業生産技術の発展過程を解明するものである。 2020年度は、比較研究の基礎となる纒向遺跡及び博多遺跡群の鉄器生産関連資料の抽出と再整理、及び鉄器生産の一大拠点とみられる福岡県福岡市博多遺跡群資料について、鉄器製作工具の有無、共通性等や奈良盆地と博多湾沿岸地域の土器様相の検証をおこなった。当初予定では、資料の実見、詳細観察を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、報告書等の文献による資料収集を行い、実見による観察を見送った。 纏向遺跡の土器様相については、土器編年の基準となる資料を抽出し、編年の素案を作成した。また、地域間交流を示す纏向遺跡及び周辺出土外来系土器について集成を進め、詳細観察のための関係機関との調整を行った。 鉄器及び鍛冶関連資料についても、橿原考古学研究所所蔵品の纒向遺跡出土大型砥石の三次元データ化を行い、博多遺跡群出土資料などとの比較研究を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス拡大感染をうけ、外部機関への訪問を伴う資料の実見を見送ったため、詳細観察や撮影、実測などのデータ作成と比較検討が十分にできなかった。そのため、文献資料による資料集成を先行して実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
鍛冶関連資料及び土器による地域間交流を示す資料について、文献等による集成から詳細観察の対象を絞り込み、優先順位の高いものから実見し、詳細観察、撮影、実測等のデータ化を実施する。引き続き橿原考古学研究所所蔵の鍛冶関連資料、鉄器資料の三次元データ化を進めるとともに、外部機関の資料実見は、今後の新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、桜井市など県内機関について可能な範囲で実施する。なお、県外の長距離移動を伴う機関の資料観察については、実施の可否を引き続き検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス拡大感染により、資料調査及び調査補助員の採用を見合わせたため、旅費及び人件費の執行を行わなかった。 次年度は、調査補助員を採用して資料調査にあたるため、人件費を増額して執行するとともに、新型コロナウイルス感染拡大状況と調整しつつ可能な範囲で旅費を執行する。
|