研究課題/領域番号 |
20K01089
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山田 俊輔 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (10409740)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遊動的非農業民 / 国家 / 卜骨 / 骨角製品 |
研究実績の概要 |
2021年度は新型コロナウィルスの感染状況を注視しながら、福島県薄磯貝塚、長野県生仁遺跡、円正坊遺跡、神奈川県池子遺跡、間口洞窟、大浦山洞穴、毘沙門C洞窟、桂台北遺跡、静岡県長崎遺跡、八反畑前田遺跡、瀬名川遺跡、水洗遺跡、南谷遺跡から出土している卜骨、骨角製品について調査を実施した。約350点の資料調査を踏まえて、卜骨と鹿角製把、有栓弭などの特徴的な骨角製品の型式学的研究を進めることができた。卜骨や特徴的な骨角製品は中部高地、北関東、南関東、東海東部(駿河)の広域にわたって分布しているが、各地域に未成品があり、その中には海食洞穴のような海人が利用したと考えられる遺跡が含まれていた。広域に分布する特徴的な骨角製品は形態や製作の特徴が類似しており、海上や陸上を広域に移動した集団が遺したものである可能性が高いと考えた。詳細な分析と考察については論文を作成して投稿し、現在、査読中である。 今年度までの調査研究によって東日本の広域を移動する集団の存在を明らかにすることができたと考えるが、次年度は西日本の卜骨、骨角製品の研究を進め、東日本の卜骨、骨角製品を使用した集団との関係性について検討していきたい。また、広域遊動集団の活動圏と出現期古墳の分布にどうような相関があるかについても検討を進める予定である。これらの検討を踏まえて、広域遊動集団と初期国家の形成がいかに関係するのかを明らかにする手がかりを得たい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は新型コロナ感染症の拡大によって資料調査がほとんど実施できず、研究が大幅に遅れていた。今年度は感染症の状況を見極めながら資料調査を実施することができ、当初の遅れはやや取り戻せたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの調査研究によって研究の新たな見通しを得られつつある。いくつかの研究の展開について試みを進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大によって資料調査の実施が予定より進められなかったため。次年度も新型コロナ感染症によって資料調査が十分に進められない可能性が高いが、適切に経費を使用していきたい。
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