| 研究課題/領域番号 |
20K01094
|
|---|
| 研究機関 | 東日本国際大学 |
|---|
研究代表者 |
高橋 寿光 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 客員教授 (30506332)
|
|---|
| 研究分担者 |
阿部 善也 東京電機大学, 工学研究科, 助教 (90635864)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | 古代エジプト / 土器 / 生産 / 流通 / 胎土分析 |
|---|
| 研究実績の概要 |
令和2年度（初年度）については、新型コロナ・ウィルスの世界的な流行によりエジプトにおいて現地調査を行うことができなかったため、研究計画を一部変更し、日本国内で実施可能な作業について前倒しで行った。まずはこれまでに報告されたワイン壺の網羅的な集成を行い、データベース化した。データの分析については今年度および来年度に予定している現地調査の成果と併せて実施する予定である。
また、過去のエジプト調査において取得したワイン壺のデータのまとめも行った。これまでの調査において、墓において副葬品の飲料を貯蔵するために使用されたと考えられてきたワイン壺に破壊の痕跡を確認している。またワイン壺の断面にも内容物が付着することから、早い段階で破壊されたことも確認した。こうした点からワイン壺が貯蔵だけでなく、葬送の儀式においても使用された可能性を提示した。この成果については、日本オリエント学会で口頭発表を行い、また英語論文として投稿した。
その他、本研究に関連する新王国時代の土器に関する英語論文1本、英語発表要旨1本を海外雑誌に投稿した。
同様に、研究分担者についても現地調査ができなかったため、これまで取得したワイン壺のデータ整理を依頼した。また、同じくワイン壺以外の土器のデータ整理も行ってもらったところ、地域によって粘土鉱物の元素組成の相違を見出すことができた。本成果については今年度まとめ、発表する予定である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ・ウィルスの世界的な流行により初年度に予定していたエジプト現地調査ができなかったため、計画を一部変更し、日本国内で実施可能な作業を前倒しして実施した。今年度実施できなかったエジプト現地調査については、その分をそのまま次年度および最終年度にずらすため、全体的な計画には大きな影響を及ぼさないと考える。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今年度は、年度の後半に東日本国際大学エジプト考古学研究所が発掘調査を行うエジプト各地の6遺跡（サッカラ北遺跡、アブ・シール南丘陵遺跡、ダハシュール北遺跡、王家の谷・アメンヘテプ3世王墓、マルカタ王宮、ルクソール西岸岩窟墓）から出土した資料を対象としたエジプト現地調査を予定している。現地調査によりワイン壺の資料化を行い、胎土、器形、成形技法などのデータを取得する。同じく研究分担者に理化学分析を依頼し、データを取得する。調査後に、まずは今年度に取得したデータをもとにし、生産地を推定する。
また、初年度に新型コロナ・ウィルスの影響によりエジプト現地調査が実施できなかったことから、来年度についても現地調査を実施する。年度の前半に調査を実施し、後半にそれまで得られたデータをまとめ、研究のまとめに入る計画である。
成果については国内のオリエント学会で口頭発表するとともに、国際的な古代エジプトの土器専門誌Bulletin de Liaison de la Ceramique Egyptienneに投稿し、フィードバックを得る予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィルスの世界的な流行によりエジプトにおいて現地調査を行うことができず、旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。使用計画としては、年度の後半に、今年度分を合わせた長期のエジプト現地調査を行う予定で、その際に旅費および滞在費で使用する計画である。
|
