本研究は日本列島で普及した家畜、とくに食用という側面について注目して、家畜生産とそれらの利用実態、および古墳時代の王権との関連について明らかにすることを目的とした。本研究において分析対象の中心となる西庄遺跡の動物遺存体のうちイノシシ、イヌ、ウシ、ウマ、キジ科の抽出作業を行い、形態学的観察などを行うとともに、安定同位体分析を実施した。形態学的にニワトリの可能性を示すものが含まれていることを確認した。一方、イノシシが家畜化されている明瞭な変化はみられず、安定同位体比でも人為的な給餌状態を示す個体は認められなかった。現状では、飼育個体と断定できるものはいないが、家畜の存在を否定することはできない。
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