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2021 年度 実施状況報告書

ロシア沿海地方における渤海(698~926年)遺跡出土遺物編年の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01096
研究機関金沢大学

研究代表者

小嶋 芳孝  金沢大学, 古代文明・文化資源学研究センター, 客員教授 (10410367)

研究分担者 岩井 浩人  青山学院大学, 文学部, 准教授 (10582413)
中村 亜希子  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (60600799) [辞退]
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード渤海 / 編年 / ロシア沿海地方 / クラスキノ城跡 / 靺鞨
研究実績の概要

コロナの影響でロシアでの調査が実施できなかったため、昨年に引き続き研究史・基本文献の整理をこなった。4月25日と3月13日に科研研究会を開いた。4月25日研究会では、小嶋が「斉藤優が調査した図們江流域の抜海遺跡」、中村が「西古城と八連城における出土瓦の同笵関係」を報告。3月13日は、金沢大学博士課程研究生の呂夢が「唐代蓮花文瓦当の「様式・技術」の時間的変化とその背景にある生産集団の変遷」、小嶋が「古城村1号・2号寺址から見たクラスキノ城跡」、中村が「清水信行・鈴木靖民編著『渤海の古城と国際交流』を読む」、中澤寛将が「装身具からみた靺鞨・渤海の葬墓制」を報告した。
小嶋はY.G.Nikitin2001年論文「唐・渤海と東夷」を参考に「ロシア沿海地方における渤海の領域について」を執筆し、『纒向学研究10号』に投稿(2022年刊行予定)。また、10月16日に開催された日本考古学協会金沢大会で「古代日本海域における人の移動-渤海・日本航路を中心に-」と題して基調講演をおこなった。ここでは、近年のロシアにおける渤海遺跡調査の成果をもとにロシア沿海地方における渤海の中核的領域が綏芬河流域までとする考えを述べた。また、V.A.ベリャエフ・S.V.シドロヴィチ「鉄利人に下賜された唐代割符」の翻訳をおこない、研究分担者・研究協力者で共有した。この論文は、ナホトカ近郊で採集された方形の金銅製割り符で「鐵利蕃乞土夏」「貞元十一年」の文字が記されている。採集品であり、真贋について慎重に検討する必要はあるが、鐵利の居住域を考える上で貴重な資料である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2020年度に引き続きコロナ蔓延の影響で、対面での研究会開催や資料調査ができなかった。また、ロシアのウラジオストクにあるロシア科学アカデミー極東支部歴史学考古学民族学研究所と共同で現地資料の調査を実施する計画だったが、ロシアへの渡航・調査を実施できなかった。

今後の研究の推進方策

コロナが終息してロシアへの渡航・調査が可能になることを期待していたが、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻により、日本-ロシアの航空路線が停止となっている。少なくとも、2022年度はロシアへの渡航は難しくなったと判断している。こうした中で、2022年度の研究は以下の三項目を中心に進めたい。
①クラスキノ城跡調査報告書の内容整理(土層・遺構配置、層位別出土遺物の確認など)
②国内で出土した渤海・靺鞨関係資料の調査(奈良市平城京内出土資料、北海道で出土した大陸系資料など)を基準として、大陸の渤海遺物の年代を検討
③東大が保管する渤海関係資料の調査・検討

次年度使用額が生じた理由

2021年度は、コロナの影響で国内・海外旅費を支出できなかった。
2022年度は、奈良・東京・北海道などで資料調査を実施予定。
また、対面での研究会を二回開催する計画である。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 「瓦様」と瓦笵―東大寺式軒丸瓦における同紋瓦・同笵瓦の再検討-2022

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子, 今井晃樹, 林正憲, 岩永玲
    • 雑誌名

      奈文研論叢

      巻: 3 ページ: 1~37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 変形忍冬唐草文軒平瓦6647Cの再検討2022

    • 著者名/発表者名
      石田由紀子, 新尺雅弘, 中村亜希子
    • 雑誌名

      奈文研論叢

      巻: 3 ページ: 133 ~152

    • 査読あり
  • [学会発表] 斉藤優が調査した図們江流域の渤海遺跡2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      小嶋科研・研究会
  • [学会発表] 斉藤優が調査した図們江(豆満江)下流域の渤海遺跡2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      「第一回 渤海考古学シンポジウム」金沢大学 古代文明・文化資源学研究センター
  • [学会発表] クラスキノ城跡における囲郭施設の変遷2021

    • 著者名/発表者名
      岩井浩人
    • 学会等名
      「第一回 渤海考古学シンポジウム」金沢大学 古代文明・文化資源学研究センター
  • [学会発表] 西古城と八連城における出土瓦の同笵関係2021

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子
    • 学会等名
      「第一回 渤海考古学シンポジウム」金沢大学 古代文明・文化資源学研究センター
  • [学会発表] クラスキノ城跡からみた渤海の土器生産2021

    • 著者名/発表者名
      中澤寛将
    • 学会等名
      「第一回 渤海考古学シンポジウム」金沢大学 古代文明・文化資源学研究センター
  • [学会発表] 瓦当による渤海王都変遷の検討2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      唐代史研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Interaction and Trade in the Ancient Northern Japan and the Okhotsk Sea Region2021

    • 著者名/発表者名
      NAKASAWA Hiromasa
    • 学会等名
      Interaction and Conflict in the East Sea Region: From Prehistoric Times to the Middle Ages、ソウル大学国史学科BK21事業団・韓国ユーラシア文明研究会主催、オンライン開催
    • 招待講演
  • [学会発表] 三次元計測データで比較する同紋瓦と同笵瓦-東大寺式軒丸瓦の検討-2021

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子, 今井晃樹, 林正憲, 岩永玲
    • 学会等名
      日本文化財科学会第38回大会
  • [学会発表] 古代日本海域における人の移動-渤海・日本航路を中心に-2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      日本考古学協会金沢大会
  • [学会発表] ロシア沿海地方クラスキノ城跡における日露共同調査2021

    • 著者名/発表者名
      岩井浩人
    • 学会等名
      日本考古学協会金沢大会
  • [学会発表] 渤海都城における宮殿の瓦と寺の瓦2021

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子
    • 学会等名
      東アジア比較都城史研究会 令和3年度第3回共同研究会
  • [学会発表] 渤海上京城の造営と瓦せん2021

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子
    • 学会等名
      第6回金毓黻と東北アジア史研究会
  • [学会発表] 古城村1号・2号寺址から見たクラスキノ城跡2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      小嶋科研・研究会
  • [学会発表] 渤海の都城-建国から上京までの変遷2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      中央大学人文科学研究所
  • [図書] 高句麗・渤海史の射程 : 古代東北アジア史研究の新動向2022

    • 著者名/発表者名
      古畑徹編(担当:分担執筆, 範囲:渤海瓦せん研究の諸問題 ―なぜ、考古学者は瓦を研究するのか―) 3.出版社:汲古書院
    • 総ページ数
      238
    • 出版者
      汲古書院
    • ISBN
      9784762967078
  • [図書] 渤海の古城と国際交流2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木靖民、金子修一、浜田久美子、赤羽目匡由、澤本光弘、宋基豪、清水信行、田村晃一、小嶋芳孝、A.L.イブリエフ、V.I.ボルデイン、酒寄雅志、中澤寛将、E.I.ゲルマン
    • 総ページ数
      466
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      9784585222897
  • [図書] 中国考古学論叢 : 古代東アジア社会への多角的アプローチ2021

    • 著者名/発表者名
      大貫静夫編 (担当:分担執筆, 範囲:渤海国の瓦せんの変遷と系譜―紋様せんを読み解く―)
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      同成社
    • ISBN
      9784886218650
  • [図書] 鞏義黄冶窯発掘調査報告2021

    • 著者名/発表者名
      国立文化財機構奈良文化財研究所(原著:河南省文物考古研究院) (担当:共訳, 範囲:第5章、付論1・4)
    • 総ページ数
      本文編(340)、図版編(169)、付論・付表編(18+95)
    • 出版者
      奈良文化財研究所
    • ISBN
      9784909931412

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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