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2022 年度 実施状況報告書

日韓弥生・古墳時代石硯・研石の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K01098
研究機関福岡大学

研究代表者

武末 純一  福岡大学, 公私立大学の部局等, 研究特任教授 (80248533)

研究分担者 足立 達朗  九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (00582652)
村田 裕一  山口大学, 人文学部, 准教授 (70263746)
古澤 義久  福岡大学, 人文学部, 准教授 (40880711)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード石硯・研石 / 弥生時代・古墳時代 / 製作技法・使用痕 / 砥石 / 石質 / 海村 / 天秤権・棹秤権 / 出土状況
研究実績の概要

2022年度もコロナ禍で資料調査が円滑にはできず、韓国からの研究員も招聘できなかった。
研究活動は天理市布留遺跡や福岡市西新町遺跡の石硯・研石候補資料を調査する中で、大きく進展した。先ず、8月22日に武末、村田、足立、古澤の4名が九州歴史資料館で、ここ5年ほどで石硯・研石候補資料が急激に増加する出発点であり、提唱者の認定基準を形成した資料でもある福岡県教委発掘の西新町遺跡出土資料を調査した際に、それらが出土遺構や層位、製作技法や使用痕跡、石質などから見て、近世の砥石であって古墳時代の石硯ではないと気づいた。そこで古澤は10月17日に福岡市内の天然砥石販売店で聞き取り調査を実施して、この石質の砥石は高価な仕上げ砥石で極端に薄くなるまで使用し、破損防止のために板に貼り付け、角を落とし、昔は側面に漆を塗ったなどの情報を得た。10月31日に武末・古澤は北九州市埋蔵文化財調査室で小倉城下町で出た近世の砥石を調査して西新町遺跡例との共通性を確認するとともに、6月に調査していた天理市布留遺跡出土の古墳時代石硯候補品の中に、旧小倉市内の近代遺構で出た明治時代の石盤と酷似する資料があることに気づいた。11月には福岡城下町出土の近世砥石の調査や九州歴史資料館での再確認調査を実施した。その結果も踏まえて、11月26日の令和4年度九州考古学会総会で4人連名で成果を発表し、『古文化談叢』第88集に論文として公表して、これまで西新町遺跡例を基に提唱された石硯・研石候補資料は全面的に見直すべきであると述べた。2月には布留遺跡資料を再度実見して石盤を含むことを再確認した。武末は3月に韓国国立中央博物館で楽浪郡関係の石硯・研石を調査して、使用痕は縦方向であることを再確認した。
弥生時代の権では、武末に熊本県年の神遺跡で出た円筒権の調査依頼が来て、福岡市今宿五郎江遺跡の候補品の存在も判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回の研究では2018年以降に提唱されている石硯・研石候補資料を実際に観察・実測して、その際には研究代表者・研究分担者が一緒に使用痕や石質を検討することが一番大事だが、昨年度に引き続いて、コロナ禍による国立大学の出張規制などがなお厳しくて予定した調査の半分ほどしかできず研究が遅れる原因となった。

今後の研究の推進方策

2023年度は九州だけでなく、島根県をはじめ、九州外の石硯・研石候補資料の調査も、研究代表者・研究分担者が一堂に会して実施する。韓国からも研究者を招聘する。また、適宜検討会を実施するとともに、上半期には成果を学会や研究会で報告し、それらの議論も踏まえて、本年度末には最終報告書を刊行する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で資料調査が予定通りに進まず、最終報告書を作成するまでには至らなかった。
2023年度は九州だけでなく、九州外の資料調査も進め、韓国からも研究者を招聘する。また、学生アルバイトを雇用して、石硯・研石候補資料の地名表も作成する。
研究代表者・研究分担者による検討を通じて、特に2018年以降に提唱された石硯・研石候補資料はほとんどが砥石であることを、出土状況だけでなく、製作技法、使用痕跡からも明らかにし、研究会などで発表する。そして、そうした上半期の議論を踏まえたうえで、11月末をめどに各人が原稿を作成し、2024年3月末までに最終報告書を刊行する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 西新町遺跡出土の”板石硯”とされる資料について2023

    • 著者名/発表者名
      古澤義久・村田裕一・足立達朗・武末純一
    • 雑誌名

      古文化談叢

      巻: 第88集 ページ: 81-96

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 石庖丁を数える2023

    • 著者名/発表者名
      武末純一
    • 雑誌名

      弥生文化博物館研究報告

      巻: 第8集 ページ: 197―206

  • [雑誌論文] 弥生時代の十進法2022

    • 著者名/発表者名
      武末純一
    • 雑誌名

      纏向学研究

      巻: 第10号 ページ: 95―103

  • [雑誌論文] 2021年の考古学界の動向 弥生時代九州2022

    • 著者名/発表者名
      古澤義久・前崎智行
    • 雑誌名

      考古学ジャーナル

      巻: 768 ページ: 52ー54

  • [雑誌論文] Petrology and zircon U-;Pb geochronology of pelitic gneisses and granitoids from the Dai Loc Complex in the Truong Son Belt, Vietnam: Implication for the Silurian magmatic-metamorphic event.2022

    • 著者名/発表者名
      Vuong Bui Thi Sinh, Yasuhito Osanai, Nobuhiko Nakano, Ippei Kitano, Tatsuro Adachi, Anh Tran Tuan, Binh Pham,
    • 雑誌名

      Journal of Asian Earth Sciences

      巻: 226 ページ: 105070

    • 査読あり
  • [学会発表] 西新町遺跡石硯候補資料の再検討2023

    • 著者名/発表者名
      武末純一
    • 学会等名
      歴史と自然を守る会
    • 招待講演
  • [学会発表] 弥生人も権(はかりのおもり)を使った?2022

    • 著者名/発表者名
      武末純一
    • 学会等名
      宮崎県立西都原考古博物館 市民の考古学講座(入門編) いっしょに学ぶ考古学ゼミナール 第1回
  • [学会発表] Two distinct timings of metamorphism detected from Menipa, Sor Rondane Mountains, East Antarctica.2022

    • 著者名/発表者名
      足立 達朗, 河上 哲生, 宇野 正起, 東野 文子,
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2022年大会
  • [学会発表] 東南極セール・ロンダーネ山地,ブラットニーパネに産する変成岩類のin-situ年代測定に基づくP-T-t履歴解析2022

    • 著者名/発表者名
      足立 達朗、河上 哲生、東野 文子、宇野 正起
    • 学会等名
      日本地質学会第129年学術大会
  • [学会発表] 日本はじめての国『奴国』2022

    • 著者名/発表者名
      武末純一
    • 学会等名
      奴国サミット
    • 招待講演
  • [学会発表] 弥生時代の文字の使用2022

    • 著者名/発表者名
      武末純一
    • 学会等名
      行橋市市民講座
    • 招待講演
  • [学会発表] 伊都国王の外交2022

    • 著者名/発表者名
      古澤義久
    • 学会等名
      第6回伊都国フォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] 魏志倭人伝の国々22022

    • 著者名/発表者名
      古澤義久
    • 学会等名
      朝日カルチャーセンター福岡
    • 招待講演
  • [図書] 荒神谷遺跡青銅器の研究2022

    • 著者名/発表者名
      吉田広・村田裕一・増田浩太・澤田正明
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      島根県教育委員会

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公開日: 2023-12-25  

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