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2020 年度 実施状況報告書

本州中央部の大規模遺跡の再検証に基づく更新世終末の動物資源利用行動の評価

研究課題

研究課題/領域番号 20K01101
研究機関新潟県立歴史博物館

研究代表者

橋詰 潤  新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (60593952)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード後期更新世末 / 縄文草創期 / 狩猟具 / 動物資源 / 本州中央部 / アムール川下流域 / 洞穴遺跡 / オシポフカ文化
研究実績の概要

後期更新世末(約16,000~11,500年前)は、現在にまで続く多くの行動や文化の変化が生じた人類史上重要な画期と認識されている。本研究では、当該期の急激かつ大規模な環境変動に対する人類の適応行動の復元を目指している。特に現段階で最も資料が充実している本州中央部の大規模遺跡を中心とした狩猟具分析に焦点を絞り、動物資源利用行動の詳細な復元を試みる。さらに、日本列島の他の地域や、北東アジアの平行する時期との比較検討も試みることとした。
本年度は、当初計画では県内外での資料調査の他、ロシア極東地域、中国北東部など海外での資料調査実施の可能性につても検討することとしていた。具体的には、①新潟県内の小瀬ヶ沢洞窟遺跡、室谷洞窟遺跡下層出土資料の分析、②東京都前田耕地遺跡出土資料の分析を計画していた。さらに、可能であれば③ロシア連邦アムール川下流域および中国東北部の遺跡出土資料の調査についても実施を検討していた。結果として、COVID-19感染拡大の影響による地域間移動の制限により、②、③については実施することができなかった。そのため、①にかかわる長岡市内の機関(新潟県立歴史博物館および長岡市立科学博物)での所蔵資料の分析と、これまでに収集したデータの分析と成果のまとめを中心に本年度の研究を進めた。結果として、小瀬ヶ沢洞窟遺跡出土資料の分析を大幅に進めることができたと共に、既取得のデータに基づく複数の学術論文執筆とその公開を果たすことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、資料調査の対象地域を国内外に設定していた。しかし、COVID-19の感染拡大により国外はもとより県外への移動も自粛が必要な状況となったため、実資料の分析に基づく研究が大幅に制限された。
具体的には、当初、本年度の研究項目として、①新潟県内の小瀬ヶ沢洞窟遺跡、室谷洞窟遺跡下層出土資料の分析、②東京都前田耕地遺跡出土資料の分析、③ロシア連邦アムール川下流域および中国東北部の遺跡出土資料の調査を計画していた。しかし、この中で本年度実際に遂行することができたのは①についてのみとなったため、このような結果となった。

今後の研究の推進方策

COVID-19の感染者数の推移の状況やワクチン接種の進行状況、さらに変異株の出現などによる不透明な今後の見通しなどから考えて、今後も当初計画していたような県外や国外への移動を伴う調査を主軸とした研究の遂行は困難であると推測される。
こうした状況下で当初の研究目標へ到達するために研究計画を一部変更する。具体的には県外、国外資料の調査を主軸としていた研究計画を改め、申請者所属機関周辺地域で調査可能な資料および、申請者所属機関への借用が可能な資料を中心とした分析へと研究計画を変更する。今後の調査対象資料としては、長岡市立科学博物館所蔵の小瀬ヶ沢洞窟、室谷洞窟遺跡下層出土資料を中心とした縄文草創期資料、長野県木曽町西又遺跡、長野県岡谷市岡谷丸山遺跡出土資料を主軸とする。長岡市立科学博物館所蔵資料はすでに調査を開始しており、岡谷丸山遺跡は実務担当者レベルでの借用調査の内諾を得ている。西又遺跡については一部の資料の借用をすでに行っているとともに、今後の資料の追加借用について具体的な協議を2021年度より開始することとしている。
これらの調査によって得られたデータに基づいて当初計画していた分析を進めることとする。さらに、COVID-19の状況や研究の進捗状況に応じ、当初計画していた資料の分析の可否についても順次判断を更新していくこととする。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では、資料調査の対象地域を国内外に設定していた。しかし、COVID-19の感染拡大により国外はもとより県外への移動も自粛が必要な状況となったため、実資料の分析に基づく研究が大幅に制限された。具体的には、当初、本年度の研究項目として、①新潟県内の小瀬ヶ沢洞窟遺跡、室谷洞窟遺跡下層出土資料の分析、②東京都前田耕地遺跡出土資料の分析、③ロシア連邦アムール川下流域および中国東北部の遺跡出土資料の調査を計画していた。しかし、この中で本年度実際に遂行することができたのは①についてのみであった。そのため当初予定より支出が大幅に減少した。
これらの繰越金については、次年度以降の資料借用旅費、および効率的なデータ分析の達成に向けた分析用PC、モバイルモニター等の購入。さらに分析資料に対する3D計測などの業務委託、研究成果報告出版費用等への支出を予定している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 特集「環日本海北部地域における土器出現期の様相」の趣旨2021

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 雑誌名

      物質文化

      巻: 100 ページ: 1-3

  • [雑誌論文] アムール川下流域の土器出現期2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 別冊32 ページ: 90-94

  • [雑誌論文] 更新世末の狩猟具利用の変化2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 別冊32 ページ: 116-120

  • [雑誌論文] アムール川下流域における土器出現期研究の現状と課題2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 雑誌名

      物質文化

      巻: 100 ページ: 21-38

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 狩りの道具の変化からみえる動物資源への適応2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 雑誌名

      多摩のあゆみ

      巻: 179 ページ: 34-51

  • [雑誌論文] 本州中央部における更新世末の大形両面加工尖頭器2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 153 ページ: 42-46

  • [雑誌論文] 新潟県小瀬ヶ沢洞窟遺跡出土石器の再検討(3)―いわゆる植刃の再検討―2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 雑誌名

      長岡市立科学博物館研究報告

      巻: 56 ページ: 67-86

  • [学会発表] 静岡県富士宮市大鹿窪遺跡における狩猟具利用の変遷2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 学会等名
      日本考古学協会第86回総会研究発表
  • [学会発表] 環日本海北部地域における土器出現器~アムール川下流域を中心に~2020

    • 著者名/発表者名
      橋詰潤
    • 学会等名
      シンポジウム/資源環境と人類2020 旧石器から縄文へ―中部日本の地域的様相―

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公開日: 2021-12-27  

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