研究課題/領域番号 |
20K01111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
沓名 貴彦 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, グループ長 (20574148)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非鉄金属生産 / 金 / 銀 / 真鍮 / 亜鉛 / 非破壊分析 / 蛍光エックス線分析 / 負ミュオン分析 |
研究成果の概要 |
今回の研究で、次のことを解明した。 ①金生産では室町期は砂金採集が中心、鉱山開発による金鉱石からの金生産は戦国期開始であった。平安末期の平泉など三陸地域では、近隣採取の金が利用された。②銀生産は、平泉のほか、室町期の十三湊遺跡や京都市内遺跡で銀銅合金等の利用がみられた。しかし、銀の産出地推定に利用可能な不純物元素の確認はみられなかった。③銅では、炉甘石を用いた真鍮生産が本土では戦国期、琉球ではより早い導入が判明した。十三湊遺跡では真鍮素材の痕跡を確認し、他の銅合金は広範な利用が各地でみられた。④負ミュオンによる非破壊深さ方向分析では、金表面処理技術“色付”を首里城跡出土厭勝銭で確認した。
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自由記述の分野 |
保存科学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
室町期の非鉄金属生産技術を明確化してその生産活動を明らかにし、前後の時期との差違を明確化することは、室町期を知る新たな視点をもたらすと考える。金生産では室町期は砂金採集が中心であり、銀では各地における利用状況が可視化され、予想以上に金銀の利用があった事が明らかとなった。そのため、続く戦国期における金銀鉱山開発の開始は、大きな変革点であった事が再認識された。銅では、銅合金真鍮の生産について室町期は素材利用はあるものの、鉱物を用いた真鍮の生産自体は戦国期になることや地理的な差異が見られたことは、室町期における大陸との交易などを考える上で重要な視点を提示することができた。
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