本研究では、草原地帯で出土する有機質遺物、とりわけ彩色の施された遺物に対するトレハロース法の有効性を検証し、適正な保存処理方法の確立を目指した。さらに、現地保存科学者に技術移転を図ることも念頭に置き、研究を実施した。 出土彩色木製文化財の保存処理を行なう場合、彩色部分と木胎部分双方を同時に維持する必要がある。よって、含浸薬剤としてのトレハロースが彩色に与える影響と適切な含浸方法を検討し、その可能性を見出した。また、研究期間中に、トレハロース法に関わる手法や技術をモンゴルの保存科学担当者に移転するため、現地担当者を日本に招き、複数回にわたり研修をおこなうことができた。
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