研究課題/領域番号 |
20K01122
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
佐藤 崇範 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 特命助教 (80826082)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 研究者資料 / アーカイブズ / 自然史系博物館 / 資料整理手法 / 学術資源化 |
研究実績の概要 |
研究者等が学術研究の過程で作成・収集した一次資料が主体の「研究資料」は、学術資源として高い潜在的価値を有する。「研究資料」の活用を効果的に進めるためには、アーカイブズ学に基づいて整理・分析を行い、資料全体の構造を把握することが必須であるが、現在、研究機関や博物館等が所蔵している「研究資料」でさえ、多くは未整理の状態にあり、その学術的価値を十分に示すことができておらず、活用にも支障が生じている。本研究では、自然史系博物館に自然史標本とともに寄贈された「研究資料」に着目し、まずその現状把握を行った上で、アーカイブズ学的手法を用いて「研究資料」に最適な資料整理論を構築し、活用促進の基盤づくりを進めることを目的とする。 2021年度は、国内の自然史系博物館における「研究資料」の現状を把握するため、自然史標本を所蔵する博物館及び関連施設・機関に対して、アンケート及びインタビューによる調査を実施し、その結果をもとに管理目録の分析と自然史系「研究資料」を対象とした資料整理の実践を開始する計画であった。アンケート調査については、COVID-19流行継続により、各博物館への協力依頼を、当面見送ることとした。ただし、資料整理手法の実践対象としていた3館のうち、予備調査を実施していなかった1館については、現地での担当者との調整と資料の状態の確認を実施した。また、昨年度から継続して、学術雑誌における自然史系「研究資料」の活用事例の抽出を行い、「研究資料」の学術的活用の現状分析を行った。自然科学のなかでも分野ごとに「研究資料」に対する意識に差がみられ、学協会活動が大きな役割を果たしていることが考えられた。学会設立百周年などが契機となって、関係分野の学術史資料保存の機運が高まるものの、継続的な活動につながるかどうかは常置委員会の設置などの仕組み作りが重要となっていると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画の第一段階に位置づけていた自然史博物館等へのアンケート調査及び現地での担当学芸員へのインタビュー調査を実施するにあたり、COVID-19流行・変動を注視してタイミングを見計らっていたが、各館が置かれている状況が地域によってことなること、協力依頼が負担となるケースもあることを考慮して、2021年度中の実施は適切ではないと判断した。そのため、自然史系博物館における「研究資料」の現状を把握することと、それを踏まえた「研究資料」の整理手法案の考案には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施予定であった、「アンケート及びインタビュー調査」を2022年度前半に実施するよう、引き続き各地のCOVID-19流行・変動を注視していく。アンケート結果が集計でき次第、「研究資料」の管理目録の分析を進めていく。具体的な自然史系「研究資料」3件を対象とした資料整理の実践については、所蔵館の担当者と調整を進めており、遅れている調査計画の正常化を図る。また、「研究資料」の学術的活用の現状分析については、得られた知見をとりまとめて学会等で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度当初からのCOVID-19流行継続により、アンケート調査の実施を見合わせ、現地調査等も実施できなかったため。 2022年度前半に、前年度までに実施予定であったアンケート調査を、COVID-19流行・変動を注視しつつ実施し、アンケート調査の終了後から年度後半にかけて、集中的に現地およびオンラインでのインタビュー調査を実施する。また、実際の資料整理は県外移動を伴うため、協力を依頼している博物館の担当者と連絡を密にとり、早期に実施できるよう努める。
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