国内の主要な人文系ミュージアムを対象に実施した収蔵展示に関わる調査データを公開し、今後の研究における基礎資料の提供に寄与できた。また多様な様相を呈する収蔵庫公開事例について類型化と各特徴を整理したことで、今後の事例把握の基準を示すことが出来た。さらに文化財をめぐる国の施策を「保存と活用の好循環」の視点から捉えることで収蔵展示が有する「保存と活用の越境的実践」との共通性を指摘した。この点は、今後、国民的財産という理念的価値を有する文化財(ミュージアムコレクション)を、市民参画型の持続可能な保護体制のもとで未来に継承するための諸条件を明らかにするという次の研究課題を導き出すことにもつながった。
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