研究課題/領域番号 |
20K01128
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
繁宮 悠介 長崎総合科学大学, 総合情報学部, 准教授 (00399213)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 会話分析 / 学習会話分類 / アフォーダンス / テキストマイニング / 共起ネットワーク |
研究実績の概要 |
2020年度は研究開始年度にあたり、3年間の研究を行うための手続きと研究手法確立のための道具の選定を行った。予定では科学館での調査も2020年度に行う予定であったが、2020年初頭から国内で確認されはじめた新型コロナウイルス感染症の予測困難な感染拡大状況のため、博物館観覧者に接触してデータを採取することは実施せず、翌年度以降に十分なデータを取れるよう計画を変更した。今年度の研究実績としては以下の通りである。 (1)研究倫理計画書の作成。本研究は博物館観覧者の会話を分析することを目的としているため、観覧者にビデオカメラを装着してもらい、展示物を見ながら行われた会話を録音する。そのために必要な観覧者への説明事項である、研究の目的、個人情報保護の考え方、安全及びコロナ感染症への対策、同意書の形式や同意撤回の方法などを決定し、その内容について所属大学における学内審査を申請した。内容についての問題点は指摘されなかった。 (2)翌年度以降の研究実施に向けた科学館との話し合い。調査協力をお願いする科学館に対し、上記の研究倫理計画書とともに、館内での人員配置や、役割分担、トラブル発生時の責任体制を説明し、意見交換を行った。コロナ感染症の拡大状況により実施期日は柔軟に変更・延期されることも織り込み、翌年度に依頼書を提出することで研究を進めていくことを確認した。 (3)データ取得用機材の準備。使用予定のカメラを試験的に購入し、カメラの録画・録音性能を試験した。個人情報保護のためにレンズの前にフィルムを貼ることとしており、一方で展示物の種類やそれに対する動作を録画するための調節を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症のために、ボランティア被験者との接触を余儀なくされるデータ採集を次年度以降に行うかたちに予定を変更した。2年目以降のデータの増え方により3年での研究終了は十分可能であるが、1年目の実施内容が延期された点では、「遅れている」と判断せざるを得ない。今後も新型コロナ感染症の流行状況は予測不能であるが、個人にカメラを付ける方法から、展示物前にカメラを設置するなどの方法に変えることにより、感染状況の影響を最小限にすることで研究を進めていくことができると考えている。 初年度の研究実績として、新型コロナ感染症の感染状況が落ち着けば即座にデータ取得が開始できる準備を行うことができた。具体的には、研究倫理計画書の作成、研究実施に向けた科学館との話し合い、機材の準備の3点を行うことができた。これらの実績により、データ取得を次年度以降に移した点以外は「順調に推移している」と判断できる。 よって本研究の総合的な進捗状況としては「やや遅れている」ものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の拡大状況を考慮しながら2021年度の夏には調査を実施する予定である。そのために、調査する科学館には年度初頭に研究実施申請を行う。また、研究実施者が所属機関を移動したので、新しい所属機関においても、研究倫理審査を申請する。新型コロナが収束せず、被験者に対面で説明したりカメラを装着するなどの接触行為が憚られる状況が続くことを考慮し、展示物前に固定カメラを設置することで会話データを取得する方法も検討する。 当初の予定では2年目にデータを取り終えることを目指していたが、予期せぬ状況により3年目の春、もしくは夏までずれ込むことを想定しなければならない。その場合も研究期間を有効に活用するために、データ取得後のテキスト解析を効率化する手法を2年目に考案する。 現在、調査を行う博物館施設として一館のみと相談を進めているが、さらに別の二館を加え、より多様な展示に対する調査が行えるように進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた科学館での調査を新型コロナ感染症の流行拡大状況を考慮し翌年度以降に実施することとしたため、調査費用としての旅費とアルバイト人件費の支出が翌年度への持ち越しとなった。また、使用機材についても試験的購入に止めたため物品費の支出も翌年度に持ち越すこととなった。初年度からの持ち越し金額が生じたが、研究において使用する費用に変更は無いため、物品費、旅費、人件費は2年目以降に使用される予定である。
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