研究課題/領域番号 |
20K01128
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研究機関 | 富山国際大学 |
研究代表者 |
繁宮 悠介 富山国際大学, 現代社会学部, 准教授 (00399213)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 会話分析 / 学習会話分類 / アフォーダンス / テキストマイニング / 共起ネットワーク |
研究実績の概要 |
今年度もコロナ禍(8月に第5波、1~2月に第6波)により博物館での会話収集が計画通りには進めることが難しい中で、調査器具の準備、同意書の作成、協力館での予備調査と実施日程調整、調査アルバイトの手配などを行い、8月上旬に調査を行った。その結果、35組120名、計1,693分の会話(最大134分、最小13分、平均50.0分)のデータを収集した。年間100組のデータ収集を目標としていたが、8月の調査期間中には第5波の感染拡大に伴って、協力館からの依頼により調査を中断せざるをえず、調査を予定していた年度末には第6波の収束見通しが立たなかったことにより日程を決めることができず、数値目標を達成することはできなかった。 取得したデータに対して解析を進めることができた。1つのグループからは複数の音声データおよびビデオデータが採集されるが、映像編集ソフトによりそれらを1つのファイルに編集した。そのファイルの再生により、どの観察対象に対して各自がどんな発言をしているのかを、明確に聞き取ることが可能になった。録音音声を確認した結果、予想された通りグループごとの会話内容はばらつきが大きいが、観覧時間が長いグループと短いグループ、親の関わり方の違いにより会話内容は大きく異なる傾向がありそうで、これらを客観的に評価することで学習内容の違いを明らかにし、それにより学習を補助する展示を提案することが可能と考えられる。 会話内容の分析手法の調査を行い、全国大学における学生対象アンケートのテキストマイニングの各手法とそれぞれの検討内容について比較した。テキストマイニングにより自由記述や会話の客観的評価は可能であり、頻出する単語やその共起を把握することができるが、稀な単語や共起に重要性が見いだされることもあり、本研究において会話の評価を行う上での示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集を実施し、データの編集や分析の手法確立は進めたが、データ数が目標に達していないことと、その結果として論文提出や学会発表が行えていないことから、1年目と同様に「やや遅れている」と判断した。1年目に生じた遅れへの対処法として、被験者との接触を行わない方法(機器を被験者に付けるのでは無く、館内各所に設置してデータを収集する)を検討したが、個人情報の収集において同意を得る必要があることから、当初の予定通り被験者と接触する方法を継続し、生じうる遅れに対しては当初の研究期間である3年から1年延長することも視野に入れて計画を立て直すこともやむを得ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
夏期及び春期休暇期間を利用して集中的にデータ取得をすることが、説明ブースの設置や機材の搬出入の点から有利であると考えていたが、感染収束中の週末に小規模な調査を複数回実施することが必要となってきた。所属研究機関の近隣施設との関係構築を行っていくとともに、データの解析を進めていく。3年目である2022年度には、7月までに既存データのテキストマイニングを実施し、8月以降にデータの収集を行うとともに、追加されたデータの解析も含めた成果を論文化し、翌年度春に学会発表を行う予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により予定していた調査が行えなかった事による調査費(旅費・人件費)の支出、学会発表のための旅費の支出が無かったために、次年度への持ち越し額が発生した。3年目以降に行う調査と学会発表のための支出、調査のための不足機材の購入、会話分析のための分析機器などの購入により、交付された研究費は予定通り使用される。
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