研究課題/領域番号 |
20K01134
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 |
研究代表者 |
北村 美香 (中井美香) 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (50443461)
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研究分担者 |
佐久間 大輔 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 課長 (90291179)
釋 知恵子 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 係長 (60626349)
佐藤 優香 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 客員研究員 (40413893)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 博物館教育 / ワークショップ / 体験学習 / 評価 / 学習観 |
研究実績の概要 |
本研究は、博物館で実施されているワークショップに対して、実施者の視点から評価指標を提言し 、企画段階でのプログラム改善がおこなえる評価手法を開発することを目的としている。博物館の教育普及事業で取り入れられているワークショップ企画、運営の中で、実施者が持つ学習観や意思決定の基準など無意識の部分を言語化し、実施者が点検と改善に活用できる新たな評価ツールを開発、検証する。初年度である2020年度は、実施者の学習観等の言語化とプログラム改善チェックリストの試作、定期的にワークショップを実施している館へのヒアリング調査および実施現場での試作リストの試行を計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言が発令され、年度当初より博物館全体が臨時休館となってしまうことになった。解除後も、人との接触を出来るだけ控え、密を作らないことが継続して求められ、集客事業であるワークショップそのものが開催中止となり、実施館へのヒアリングや試作リストの試行ができなくなった。また、メンバーとの研究会も対面での開催が難しくなった。 そこで今年度は計画を一部変更し、実施者の学習観等を理解し、言語化していくために必要だと思われる知識や情報を共有すること。博物館での学びや学習観などについて議論する場を設けることなどを目的に、リモートにて文献の輪読会を月1回開催した。また、研究テーマを細分化し、分担者が中心となって分科会を作り、それぞれのグループで課題について取り組みながら、2・3ヵ月に一度全体の研究会をリモートで開催し、成果を共有するようにした。実際に足を運ぶことが難しくなり、対面での議論もなかなかできない中ではあったが、研究全体の基礎となる部分の研究に時間が取れたのは、今後の計画の遂行と結果の充実度向上に大きく影響したと考えている。今年度の成果を活用し、今後の調査実施準備を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度の計画では、①「無意識」の学習観の言語化から、企画段階でのプログラム改善チェックリストの試作。②ワークショップ実施館を対象にヒアリング調査。③試作したチェックリストの試行をおこない、実施者が無自覚で行動する根拠となる学習観はどのようなものかを検証することが大きな目的であった。しかし、対面での研究会等の開催が困難になったため、計画を一部変更し、博物館での学びや学習観などについて議論する場を定期的に設けるために、博物館教育の分野で引用等よくされている『博物館体験―学芸員のための視点』John H. Falk, Lynn D. Dierking (原著), 高橋 順一 (翻訳) を取り上げ、研究会メンバー8人で章ごとに分担し、毎月1回2~3時間の輪読会をリモートにて実施した。これにより、メンバーの持つ学習観の違うところや議論を深める必要があるポイントなどを把握することができた。 また、研究テーマを6つに細分化し、分担者が中心となって分科会を作り、それぞれのグループで課題を取り組んでいる。各グループでの活動状況はまちまちだが、1:ワークショップについての先行研究を文献から調査、整理。2:研究会メンバーがワークショップを企画・実施する際に重視する項目の洗い出し。3:全国の博物館でのワークショップ実施状況分析。4:本研究での「ワークショップ」や「学習観」の定義付け。5:関連文献の情報収集や分析。6:今年度の輪読会で使用した文献の続編を和訳、輪読。以上6つの活動をリモート活用して日常的な打合せから、作業等おこなっている。これらの分科会での活動とは別に、リモートではあるが全員で集まる研究会を年度中に4回実施できた。この研究会で進捗状況を報告し、個別グループの活動や今後の方針などについて議論をすることで、行動制限解除後すぐに調査やチェックリストの試作作成への準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、新型コロナウィルスの感染状況を見ながらではあるが、現在取り組んでいる6つの分科会での活動を継続させ、年度末には研究成果をそれぞれがまとめ、学会等で発表できるものを目指していく。次に2020年度取り組んでいた輪読会を再開し、2021年度中に1冊完了できるように進める。また、本来実施予定だった実施者の学習観等の言語化とプログラム改善チェックリストの試作、定期的にワークショップを実施している館へのヒアリング調査および実施現場での試作リストの試行に取り組むとともに、チェックリストから得られる効果を測定、検証までを2021年度の計画をする。 緊急事態宣言解除後にすぐヒアリング等が実施できるように、2:研究会メンバーがワークショップを企画・実施する際に重視する項目の洗い出し。3:全国の博物館でのワークショップ実施状況分析。4:本研究での「ワークショップ」や「学習観」の定義付け。以上3グループを重点的に取り組む。ヒアリング予定の館については、事前調査準備も兼ねてリモートでのコミュニケーションの場を設けて、研究テーマについての意見交換や情報共有を重ねていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大を受け、対面での研究会実施や現場で取り組まれている館へのヒアリング調査等に伺くことができなくなった。限られた範囲ではあったが、研究会等をリモートに切り替えての実施としたため、交通費及び謝金に関しての予算執行はできなかった。人件費についても、調査に行けなかったため資料整理および調査補助についての予算執行はできなかった。行動制限があった中での対応や研究遂行については、2020年度にある程度方向性が見えてきたので、2021年度は分科会別で作業を進め、緊急事態宣言解除後にすぐヒアリング等が実施できる体制を取る。ヒアリング予定の館については、事前調査準備も兼ねてリモートでのコミュニケーションの場を設けて、研究テーマについての意見交換や情報共有を重ねていく。
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