| 研究課題/領域番号 |
20K01142
|
|---|
| 研究機関 | 岐阜大学 |
|---|
研究代表者 |
森本 真紀 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30377999)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
| キーワード | サンゴ骨格 / 古気候学 / 台風 |
|---|
| 研究実績の概要 |
台風の接近は数多くの災害を引き起こし、人間の生活に大きな影響を与えることから、その発生数や規模・経路は重要な情報である。本研究では、サンゴ骨格年輪を用いた温暖期の台風接近頻度の復元を行う。過去の気候を復元する地質試料であるサンゴ年輪の大きな特徴である、高時間分解能であることを活かし、同位体組成及び金属濃度比分析から水温と降水についての季節内の詳細な変化を示し、現在との比較から、過去の温暖期の沖縄県八重山諸島における台風や豪雨の変動の復元を目指す。2020年度は現代における台風復元法の検証のためのサンゴ試料の分析を進めた。八重山諸島の石西礁湖において、2018年のサンゴ礁調査で採取した現生サンゴ試料について、0.25mm間隔、すなわち約10-15日間の時間分解能での試料を削り出しを過去25年間の骨格年輪について進めた。各試料の酸素同位体比を質量分析計で測定し、金属濃度比（Sr/Ca比）をICP発光分析計で過去10年分の年輪試料を測定した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
試料の同位体分析・金属濃度分析とX線による年輪分析に関して、研究協力者２名と、研究代表者の所属講座の学生３名の協力を得て進めた。サンゴ試料の削り出し作業は岐阜大学教育学部と名古屋大学環境学研究科において、酸素同位体比測定は名古屋大学環境学研究科において、金属濃度比測定は総合地球環境学研究所においておこなった。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言のため、県境を超える移動が難しい期間が年間を通して続いたこと、また、年度の前半は学生が登校できない時期が続いたことも重なり、実験の進捗が遅れることとなった。現代の台風復元に必要と考える70年分の記録のうち今年度は10年分の年輪試料の測定をおこなった。
|
| 今後の研究の推進方策 |
２年目の2021年度は、初年度の分析を継続して行う（現生サンゴ年輪試料の削り出し、酸素同位体比分析、金属濃度分析）。20年以上の記録が得られた時点で、石西礁湖（八重山諸島石垣島）における気象観測記録とサンゴ骨格年輪記録の対比から、台風・大雨検出条件を検証を開始する。酸素同位体比測定の方が金属濃度測定よりも迅速に測定でき、測定施設への岐阜大学からの移動・出張も比較的行いやすいため、両者の分析を同じペースで進めるのではなく、酸素同位体測定を優先して行い、気象観測記録との対比を同時に進めていくこととする。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言のため、県境を超える移動が難しい期間が年間を通して続いたこと、また、年度の前半は学生が登校できない時期が続いたことも重なり、他研究機関における分析（酸素同位体比、金属濃度）が予定通り行えなかったことと、年度の前半は所属教室の学生が登校できない時期が続いたことでサンゴ試料の削り出しや整理などの作業がの進捗が遅れたため、旅費、謝金、装置利用費を予定通り使用することができなかった。本年度行うことができなかったこれらの分析等を次年度に行う計画である。
|
