研究課題/領域番号 |
20K01148
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
山元 貴継 中部大学, 人文学部, 准教授 (90387639)
|
研究分担者 |
鎌田 誠史 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (70512557)
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 客員教授 (10460338)
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 教授 (60252748)
松井 幸一 関西大学, 文学部, 准教授 (40612437)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | フルジマ / 琉球列島 / 村落 / 集落移動 / 御嶽 |
研究実績の概要 |
2020年度は当初,代表者・分担者で沖縄県内各地に向かい,調査対象地域の現況を確認するとともに,現地研究者との意見交換を行うことを予定していた。しかしながら周知の通り,新型コロナによる影響で現地への渡航が事実上困難となったことを受けて,次年度以降に最大限活用できるように研究費を温存し,2021年度は代表者・分担者が各自,自らの研究環境の中でできるリサーチ活動に専念していただくこととした。 その中で代表者・分担者は,各自の分野である地理学や建築学,歴史学だけでなく,考古学などにおける従来研究・調査のレビューを進め,本研究の分野においていかなるアプローチがなされてきたのかを把握することに努めた。その中で,各自のこれまでの研究で得られたデータの見直しを進め,それらの中には論文掲載を果たしたものもある。また,とくに代表者については,本研究課題の主たる対象地域の一つである,勝連南風原集落とその一帯(旧南風原村)についての,米軍作成1:4,800地形図における地形情報および「土地整理事業時」の地籍情報のGISデータ化を進める中で,研究の全体である南風原集落の元集落とされる「フルジマ(モトジマ)」一帯の地形条件と土地所有状況との関係を明確化する準備を整えた。また,この「フルジマ」から現在の集落へと移動する際の生産的条件として,その中間に「苗田」と呼ばれる地区の存在が確認され,近世期の土地共有・貢租分担制度である「地割」制にこの「苗田」内の各「田」地筆の交互利用が大きな役割を果たしていた可能性を指摘した。十数戸の規模の集落が5~6箇所みられたとする「フルジマ」が300戸近くを抱えた近世期の現南風原集落に移動・移行するにあたって,どのような生産的根拠を前提としていたのかを明らかにすることによって,他の集落の「フルジマ」からの移動のプロセスを想定できるようになることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先述したとおり,新型コロナにより現地への渡航に大きな規制がかかったことが大きい。本研究課題は,現地での資料収集に加えて調査が大きなウェイトを占めており,それらが厳しくなった時点で,課題の遂行は非常に困難となった。ただし,この間に従来研究・調査および各自のこれまでの研究データを再検討したことは大きく,本研究課題の研究対象である「フルジマ・モトジマ」についての再理解と,それらから現集落への移動・移行プロセスについて,かなり明確な想定が導き出された。現時点ではその想定を,地理学・建築学・歴史学の研究者で構成された代表者・分担者に加えて,考古学の研究者などとも共有してその妥当性を確認しており,今後はそれを実証するための手続きを推し進めていくことになる。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点では,一日も早い新型コロナの収束を願いつつ,状況を見て,パイロット的に小規模の現地調査を行うことを目指している。まずはその準備段階として,6月中旬に沖縄において,代表者・分担者に加えて現地研究者をまじえた打ち合わせを予定しており,そこで,各自の研究状況と研究予定を確認し合い,意見交換を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
周知の通り,コロナ禍によって渡航が不自由となった中で,沖縄に渡航しての現地での調査および現地研究者との意見交流を主体とした本研究課題の遂行は難しい状況にあった。次年度(2021年度)以降,本格的に研究の遂行が可能となった際に,無駄なく補助金を活用したい。
|