研究課題/領域番号 |
20K01157
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕康 文教大学, 教育学部, 教授 (70279074)
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研究分担者 |
伊藤 貴啓 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10223158)
佐藤 浩樹 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10709348)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教科内容 / 教科教育 / 社会科教育 / 地理の基盤性 / 「地域」教材 |
研究実績の概要 |
リフレクションを基礎にした養成や研修の傾向が強まり,教科内容が看過されがちである。リフレクションを重ねても,浅い教科内容理解なら,子どもが深く学ぶことは難しい。また,教科専門の在り方が問われ,教科内容学構築が求められる。本研究は,教科教育教員と教科専門教員とが協働し,教科内容を構成する稀な試みから,子どもの深い学びを育む初等社会科教員養成の「教科内容」を明らかにすることを最終目的とする。2021年度の研究実績は以下の通り。 1.小学校社会科における地理の基盤性を明らかにする点から,佐藤が2021年度日本地理教育学会第71回大会(オンライン開催,2021.8.22)にて「小学校社会科カリキュラムにおける地理の基盤性-F.W.パーカーのカリキュラム論の検討を通して-」を発表,その成果を踏まえ,佐藤(2022)として論文にまとめた。 2.小学校社会科における地理の基盤性を示すキーワードとして「地域」を考え, 研究代表者が編集者となり研究分担者の伊藤貴も加わって,「地域」教材開発を軸とした教員養成用のテキストにもなり得る伊藤裕(2021)を出した。 3.2021年度末に,伊藤裕が力ある社会科教員への予備的な聞き取り調査を行い,次年度の聴き取り調査への取りかかりを得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は,力ある社会科教員への聞き取りと初等社会科専門科目のシラバス及び小学校社会科教科書分析の準備を進めた上で,分析を進める予定であった。しかし,新型コロナウィルス感染拡大により,計画していた聴き取り調査が十分に行えず,聞き取り調査から力ある社会科教員の力量形成に係わる構成要素の抽出が出来なかった。さらに,新型コロナウィルス感染の影響は教育活動にも及び,様々な対応に迫られ,初等社会科専門科目のシラバス等にも影響を与え,計画を大幅に変更せざるを得なくなった。そこで,2021年度は,コロナ感染が少しでも収まった時期を見計らって,2022年度から十分に力ある社会科教員への聞き取りができるよう予備的な聞き取り調査を行った。さらに,初等社会科専門科目のシラバス分析が十分に出来るよう及び小学校社会科教科書の分析に着手可能なように,関連資料の収集に努めるとともに,初等社会科内容構成に係わる基礎的な研究を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染状況を見極めながら,関係学会で発表することを目標にして,2021年度に十分に実施出来なかった力ある社会科教員への聞き取りを進める。さらに,初等社会科専門科目のシラバス及び大学テキストの分析,さらに小学校社会科教科書分析を鋭意進める。具体的には,以下の通りである。 1.2021年度に続き,メンバーが持つ人的資源を活かし,教科内容に理解がある反省的実践者の観点から聞き取り対象者を選び,半構造化インタビューを実施し,インタビュー記録を作成する。また必要に応じて適宜聞き取り対象者の実践記録等を収集して検討し,力量形成に係わる要素の抽出を進める。その後,十分なインタビューが可能となったならば,先の抽出した力量形成に係わる要素の再検討を行う。 2.2021年度に進めた初等社会科専門科目のシラバス収集を継続するとともに,教員養成大学・学部の初等社会科専門科目関係のテキストを収集し,収集したシラバス及びテキストを全員で分析し,学修するようになっている教科内容を抽出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は,新型コロナウィルス感染拡大が一向に収束を見せず,計画していた聴き取り調査も感染状況を見ながらの予備的調査となった。そのため,計上していた旅費等の聴き取り調査に係わる経費の支出に大幅に少なくなり,次年度使用にまわすこととなった。この他,新型コロナウィルス感染拡大により,オンライン授業への対応等,新たな業務への様々な対応に迫られ,初等社会科専門科目のシラバス及び小学校社会科教科書分析と学修するようになっている教科内容を抽出する作業も十分に進まず,物品費も十分には使用出来なかった。 (使用計画)2021年度に生じた次年度使用額は,2021年度予算の助成金と合わせて,新型コロナウィルス感染拡大の状況を見極めながら,力ある社会科教員への聞き取り調査を極力進めて(研究資料収集旅費,謝金),インタビュー記録を作成していく(人件費・謝金)。さらに,2021年度以上に初等社会科専門科目のシラバス及びテキストを収集し,必要ならテキスト著者や活用する授業者への聞き取りも行なっていく(研究旅費)。収集したシラバス及びテキストを全員で分析し,学修する教科内容を抽出する(通信費,打ち合わせ旅費)。それらの研究成果を社会科教育関係学会等で発表し,研究の方向性を確認する(その他)。
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