研究課題/領域番号 |
20K01165
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
箸本 健二 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10269607)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 立地適正化計画 / 地方都市 / 都市計画 / 郊外開発 / 空き不動産 |
研究実績の概要 |
令和2年度には、研究仮説の形成を目的として、立地適正化計画の導入を進めている地方自治体への予備調査と、過年度の研究成果の整理・公表を予定していた。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、地方自治体を対象とした予備調査(ヒアリング調査)が実施不可能となったため、既存資料の収集・整理と、研究成果の公表に努めた。まず既存資料の収集・整理については、令和令和2年3月31日現在で立地適正化計画の公表を終えている326市町の計画を収集し、1)立地適正化計画の導入にともなう市街化調整区域の取扱い、2)都市機能誘導区域における空き不動産の利活用の2点を中心に、対象自治体の計画の精査と分類を行った。その結果、立地適正化計画の導入をふまえて、都市計画法34条に基づく市街化調整区域の開発を中止・抑制している自治体は少なく、大多数の自治体が市街化調整区域外への住宅開発を容認している実態が明らかとなった。 また、研究成果の公表については、令和2年度の研究成果を含む過年度の研究成果を、日本地理学会電子ジャーナルE-journal GEO 16巻1号(2021年3月)に「立地適正化計画に対する地方自治体からの政策評価と課題認識―全国332市町村へのアンケート調査から―」(箸本健二・武者忠彦・菊池慶之・久木元美琴・駒木伸比古・佐藤正志の共著)として掲載した。また、箸本健二・武者忠彦編著『空き不動産問題から考える地方都市再生』を、2021年3月にナカニシヤ出版より上梓した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では、令和2年度(初年度)に、立地適正化計画導入を表明しつつも持続的な郊外開発に途を開いている地方自治体及び、郊外開発の抑制に着手した地方自治体を、それぞれ一定数精査し、その政策決定過程と政策遂行上の阻害要因を整理し、続く大規模調査(アンケート調査)の準備を行う予定であった。 しかし新型コロナウイルスの感染拡大と、これに伴う国の緊急事態宣言、早稲田大学行動制限指針によって地方自治体へのヒアリング調査が事実上不可能となり、研究活動を文献資料の整理と過年度の研究内容の整理・公開に限定せざるを得なかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、まず令和2年度に実施できなかったヒアリング調査を実施し、立地適正化計画の導入を予定している地方自治体における、郊外開発の実態と中心市街地の低未利用ストックに関する把握を行う。その上で,郊外開発の抑制や中心市街地の低未利用ストックの処理を実現した地方自治体に対してその政策スキームと政策遂行上の阻害要因に関する仮説を構築し、全国規模のアンケート調査を通じてその検証を行う。 なお、新型コロナ感染症の終息が遅れ、ヒアリング調査が困難な場合でも、電子メールなどの代替手段を通じて予備調査を実施し、令和3年度内のアンケート調査実施を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度(令和2年度)は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、地方自治体に対するヒアリング調査などの予備調査が実施できなかった。これらの調査は2年度(令和3年度)に速やかに実施するか、実査に代わる方法で遂行し、当初計画で予定しているアンケート調査の実施を図る。
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