研究課題/領域番号 |
20K01165
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
箸本 健二 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10269607)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 立地適正化計画 / 地方都市 / 都市計画 / 郊外開発 / 空き不動産 |
研究実績の概要 |
本年度(2022年度)は、立地適正化計画を策定した地方自治体への現地調査を通じて、地方都市における立地適正化導入における具体的課題を収集し、調査対象地域を絞り込む予定であった。しかし、新型コロナ感染症の余波により、年度内に予定していた現地調査の大半が繰り越しを余儀なくされた。このため、2021年度に引き続き、主要な研究テーマに沿った文献収集とその検討を進め、前年度と併せて次のような研究課題を整理した。 ①開発許可条例等を通じた市街化調整区域での住宅開発に関して、多くの地方自治体が立地適正化計画を導入後も開発許可の見直しを実施せず、事実上郊外部の新規開発が容認されている。 ②都市機能誘導施設の導入が期待される中心部の駅前や中心商業地に大型商業施設やオフィスビル等の遊休不動産が残存し、誘導施設の導入に目処が立たない地方自治体が一定数存在している。 ③国が都市機能誘導施設と位置づけている福祉関連施設にのうち、保育園など子ども福祉施設については地方自治体の通勤形態によって最適立地が異なること、また、通所型の高齢者福祉施設については居住誘導区域への立地を希望する地方自治体が多いことが判明した。 ④立地適正化計画は市町村が策定の主体である一方、都市計画区域を単位とする政策の整合性が求められている。このため、一つの都市計画区域を共有する複数の市町村での調整や、合併市町村のように一つの行政区域に複数の都市計画区域を持つ場合の地域間調整が困難である。 これらの知見を、2023年度の研究計画に反映させる予定でいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度前半は、新型コロナ感染症、とりわけオミクロン株による感染拡大の影響を受け、当初予定していた立地適正化計画を策定している地方自治体を対象とした現地調査が実施できず、主に文献の渉猟を通じた今日的な動向の分析と課題の精査に留まらざるを得なかった。一方、2022年度後半には、国・地方自治体による移動制限等も緩和され、現地での予備調査が段階的に可能になったが、22年度内に予備調査および本調査を実施することは研究計画全体の進捗状況から見て難しく、研究期間を1年間延長する必要があると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、新型コロナ感染予防に係る現地調査の制約が解消したため、これまて文献検索等で情報収集を行ってきた地方自治体への現地調査を積極的に行う。当面は、立地適正化計画の導入時に開発許可条例を見直した地方自治体の現地調査に着手したい。他方、駅前・中心市街地における大規模な空き不動産問題に関する全国調査を実施し、その結果をふまえて典型的な事例に関する現地調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による移動制限をうけて2022年度は予定していた現地調査の多くが実施できず、その結果を踏まえて実施予定であった全国規模の調査紙調査も2023年度に持ち越した。2023年にはこれらの調査を実施する予定である。
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