研究課題/領域番号 |
20K01191
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
神原 ゆうこ 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (50611068)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 市民社会 / ポピュリズム / 中東欧 / 文化人類学 / 市民的理性 |
研究実績の概要 |
人類学者にとって、ポピュリズムは普通の人々が関わるものでありながら、対象として正面からは扱われにくいものである。そこで、本研究ではポピュリズムを名指す力を持つ「市民的理性」に注目し、その多様性と動態を明らかにすることを目指している。具体的には、中東欧のポピュリズムとそれへの対抗運動について、地域レベルでの実態を把握したうえで(目的Ⅰ)、「市民的理性」の形成過程を明らかにする(目的Ⅱ)。そのうえで、ポピュリズムについて、特定の地域を超えて比較可能な文化人類学的視角を検討(目的Ⅲ)することで、当該テーマに関する文化人類学的研究の基礎を構築することを目的としている。 本年度は、世界的なコロナウイルス感染拡大のため、目的ⅠとⅡに関する現地調査ができない状況であった。したがって、目的ⅠとⅡに関しては文献調査に集中し、調査地のスロヴァキアを中心に、周辺のハンガリーやポーランドの体制転換後の市民社会やポピュリズムに関連する先行研究の幅広い検討に努めた。政治学や社会学の分野では、英語、現地語の先行研究が豊富であることが確認できたので、文化人類学の研究としてどのように差異化するかが課題である。 現地調査が当面困難であることを鑑み、目的Ⅲについては、当初の予定より規模を拡大し、3名の研究協力者とともにオンラインで研究会を開始した。既に多くの研究者が指摘しているとおり、ポピュリズムの定義はあいまいであるため、地域によってポピュリズムとみなされる現象の特徴は大きく異なる。むしろ、政治と感情に焦点を当てるなど、ポピュリズムという枠組みを解体する点にポイントがあると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の動向が見えず、年度初めである2020年4月に研究計画を立てた際は、年度末(2021年3月)には海外調査を再開できるのではないかと考えていた。しかし、その見込みは甘く、海外調査が必要な部分については、研究を進めることができなかった。代替として、目的Ⅲのポピュリズムと市民的理性に関する比較研究については計画を前倒しかつ、拡大し、オンラインで共同研究を進めているが、全体として遅れ気味であるのは否定できない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の海外渡航の見通しが立たないので、引き続き、目的Ⅲの比較民族誌的研究を進めるが、議論の基礎となる現地調査データの収集ができないのは致命的である。海外調査を研究期間の後半に寄せ、来年までは理論的研究に注力する。一方で、デジタルアーカイブを活用した現代史的研究の手法を取り入れるなど、文化人類学的研究手法自体の拡大を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的なコロナウイルス感染拡大のため、現地フィールドワーク調査のための旅費を使用することができなかった。感染拡大が終息した段階でフィールドワーク調査をすみやかに開始する予定である。
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