研究課題/領域番号 |
20K01195
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研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
中村 寛 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (50512737)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 暴力 / 反暴力・脱暴力 / 周縁 / ソーシャル・デザイン / 国境地帯 |
研究実績の概要 |
コロナ禍で海外フィールドワークを長いこと延期せざるをえなかった。だが、2023年3月21日から30日まで、ようやく国境地帯にフィールドワークに行くことができた。今回のフィールドワークでは、テキサス州とメキシコの国境線沿いの状況を観察し、そこにあるカルチャーセンターやカフェ、ガスステーション、レストラン、などの人々の集まる場所(meeting point)でのやり取りから、国境線をこえておこなわれる人々の営み、脱暴力にむけた取り組み、地元住民の課題意識などをとらえるのが目的だった。 テキサス州のSan Antonioからメキシコ湾河口に位置するBronwsvilleに入り、そこから国境線沿い小さな町を通り、LaredoやEagle Pass、Marfa、などに滞在しつつ、El Passoまでたどる行程となった。研究計画では、地域コミュニティで生まれる文化表現を、地元ギャラリーやカフェ、博物館・美術館、イベント会場、集会場を中心にフィールドワークを行なうことで捉えること、参与観察・資料収集を行ない、記述と解釈を進めることを目的としていたが、3月のフィールドワークによって、少なくともテキサス州の一部に関しては、フィールドリサーチをすすめることができた。 しかし、もともとの計画では、a.アメリカ・メキシコ国境地帯のテキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州(1、2年目)をフィールドワークすることとしていたが、コロナによって遅延せざるをえなかったため、遅れがでてきたこともまた事実である。そのため、それを補うべく本年度も、脱暴力の実践に関する、理論的研究や先行研究の読解について作業をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
もともとの計画では、 a.アメリカ・メキシコ国境地帯のテキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州(1、2年目) b.アメリカ・カナダ国境地帯のワシントン州、モンタナ州、ノースダコタ州、ミシガン州、ニューヨーク州、ヴァモント州の国境検問所付近や国境をまたぐ先住民居留地(モホーク族)など(4年目) c.アメリカ準州であるプエルトリコのサンフアンを中心にヴィエケス島を含む各地域(3年目) としていた。しかし、1-3年目にあたる2020-2022年度がコロナ禍にみまわれたため、現地調査を断念せざるをえなかった。ようやく2022年度後半にはいって、フィールドワークが再開できる目処がたってきた。そこで、これ以降は計画以上に頻度をあげて現地調査に赴きたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、夏休みや休日を利用して、最低2回はフィールドワークをおこないたい。テキサス州とメキシコの国境地帯についてはフィールドワークをおこなうことができたが、まだリサーチをおこなうことができていない場所に赴く。 1回目、アメリカ・メキシコ国境地帯のニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州 2回目、アメリカ・カナダ国境地帯のワシントン州、モンタナ州 それと同時に、予定していたとおり、現地の取り組みにくわしい村田勝幸氏(北海道大学・アメリカ移民研究)、越川芳明氏(明治大学・ボーダー文化研究)、鎌田遵氏(亜細亜大学・アメリカ先住民研究)などの協力を得るために、研究打ち合わせをおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度前半にもフィールドワークに行く予定だったが、コロナ禍が完全におさまりきるまで計画を延期していたため、そのぶんのフィールドワーク費用を次年度に繰り越すこととした。
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