研究課題/領域番号 |
20K01196
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
岩田 重則 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20272619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無墓制 |
研究実績の概要 |
2020年度は、本申請研究、無墓制と無位牌葬送儀礼の仏教民俗学的研究の初年度であるとともに、新型コロナウィルス蔓延の影響により、本申請研究の中心テーマに大きくかかわる主要な研究実績をあげることができなかったが、本申請研究と関係する死者祭祀・墓制との関連で、靖国神社研究をまとめることができた。その著書(単著)として、2020年8月『靖国神社論』(青土社)(四六版総頁637頁)を発表した。 本申請のもっとも中心は、フィールド調査に基づく資料収集と、それによる無墓制と無位牌葬送儀礼における仏教民俗的性格の抽出にある。そのためのフィールド調査として、新型コロナウィルス蔓延の影響がもっとも少なかった8月前後を中心に、滋賀県湖東・湖南地域を中心として資料収集につとめた。予定したフィールド調査量にははるかに少ないものとなったが、無墓制と無位牌葬送儀礼が、他宗ではなく、浄土真宗特有の民俗であることをおおよそではあるが予測することができるようになった。ただし、これについては、他宗との比較、また、この地域に濃厚な両墓制との比較検討も、資料がいまだ少なく、展開させることができなかった。フィールドとして設定した滋賀県では、仏教宗派が浄土真宗である集落では無墓制を採用し、他宗派では両墓制を採用していることが一般的であることを仮定できるまでのフィールド調査量にとどまった。そのために、2021年度以降は、この仮定を論証できるよう、フィールド調査をくりかえし資料量を増やし論証できるようにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本申請研究、無墓制と無位牌葬送儀礼の仏教民俗学的研究は、フィールド調査により、あらためて、資料を収集し、その仏教民俗学性格を抽出することにある。しかし、2020年度は新型コロナウィルス蔓延の影響により、フィールド調査を制約せざるを得ず、計画通りのフィールド調査を実施することができなかった。 そのために、フィールド調査の予備作業として、文献資料収集にも力を注いだが、本申請研究では、計画的なフィールド調査による論証を目的としているので、十分な進展とはいえない状態となった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度についても、新型コロナウィルス蔓延の影響が継続しているが、感染予防に留意しつつ、ヒアリング調査では、インフォーマントの方のコミュニケーションをしっかりととり、その上でのフィールド調査を行ないたい。また、2020年度、十分なフィールド調査を実行することができなかったため、2021年度の調査計画を見直し、地域を限定しつつ無墓制および無位牌葬送儀礼についてのフィールド調査を継続していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本申請研究では、フィールド調査を主として資料収集を行なうことを計画しているが、新型コロナウィルス蔓延の影響により、2020年度はフィールド調査を予定通り行なうことができなかった。 2021年度は、いまだ新型コロナウィルス蔓延の影響が継続する状況あるが、出来る限り、感染予防につとめ、本申請研究の成果を獲得できるよう、フィールド調査を実施していきたい。
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