研究課題/領域番号 |
20K01196
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
岩田 重則 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20272619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無墓制 |
研究実績の概要 |
本申請研究の2021年度は、浄土真宗地域の無墓制と他宗の両墓制との比較検討を行なった。ただし、新型コロナウィルス蔓延の影響で、緊急事態宣言期間、まんえん等防止措置期間も長く、解除後は授業期間とも重なり、十分なフィールドワークを行なうことができなかった。それでも、限れた範囲ではあるが、無墓制との比較で、両墓制が浄土真宗地域では少なく、他宗では多いことを、本申請研究で予定していた滋賀県さらには兵庫県などをフィールドとして調査を行なった。 また、無墓制が現代の火葬墓制ではなく、古くから火葬を行なってきたことが多いことも、滋賀県をフィールドとするとき、確認できた。滋賀県では、無墓制が点々と分布するが、そのほとんどが浄土真宗を宗派とし、さらには集落ごとに火葬場を持ち火葬を行なってきている。現在でこそ、火葬場が市町村の斎場へと移っているが、かつて利用していた火葬場が残る集落もあり、そのような集落では調査もしやすく、こうした無墓制の実態を確認することができた。 墓制と関連する葬送儀礼でも、コロナ禍による変貌はあるが、それとは無関係に、無墓制地帯では位牌祭祀が稀薄であることを確認できている。両墓制地域では位牌祭祀は単墓制地域と同様に濃厚であるが、無墓制地域では位牌祭祀が稀薄あることが、比較の上で興味深いのではないかと思われる。こうした墓制と関連する葬送儀礼についても、無墓制に特徴的な葬送儀礼についての確認をすすめたいと考えている。 本申請研究との関連で、死者祭祀研究の論考「天狗論ー龍爪神社とさむはら」『現代思想』第49巻第5号(2021年5月)を発表し、死者祭祀についての考察を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度、2021年度、2年間続いた新型コロナウィルス蔓延の影響はきわめて大きい。まんえん等防止措置、緊急事態宣言が出されている期間が続き、ワクチン接種もようやく2021年度7月から第1回目であった。そのために、十分なフィールドワークができなかった。2022年度は改善の傾向にあるので、フィールドワークによる調査研究を推進していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本申請研究は、いまのところ、2020年度からはじまり2021年度まで2年間であるが、ちょうど新型コロナウィルス蔓延、くりかえされた緊急事態宣言、まんえん等防止措置と重なり自由なフィールドワークができなかったが、2022年度はワクチン接種もすすんだので、ピッチをあげて、無墓制およびそれとの比較における両墓制研究のフィールドワークをすすめていきたい。中心的なフィールドは滋賀県であるが、近畿地方を中心に周辺地域にもフィールドを広げすこしでも多くの事例研究をすすめていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウィルス蔓延の影響で、緊急事態宣言期間、まんえん等防止措置期間が長く、解除されていた期間は授業期間と重なることも多く、特に、フィールドワークによる調査・研究を行なうことができなかった。そのために、新型コロナウィルス蔓延の影響が減少し、3回目までのワクチン接種も済ませた2022年度に、これまでの調査・研究の遅れを取り戻すべく、設定したフィールドの近畿地方を中心に、調査・研究を行なっていきたい。
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