研究課題/領域番号 |
20K01206
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
松川 恭子 甲南大学, 文学部, 教授 (00379223)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | インド・ゴア / 自己語り / 複数メディアを活用した教育と発信 / 人類学的実践研究 / デジタル・ストーリーテリング / オートエスノグラフィー |
研究実績の概要 |
本課題は、ゴア大学のAlito Siqueira教授が修士課程卒業生たちに推奨した「自己語り」を通じた教育/複数メディアによる発信の方法を振り返り、彼の教え子と協働して更なる展開を図る人類学的実践研究である。 元々、本研究を進める上で出発点となるSiqueiaの教え子の修士論文をまとめた論集Hanv Konn: Re-searching the Selfの出版がコロナ禍で遅延し、その出版を進めることに2020年度は注力せざるをえなかったため研究の進展が遅れた。また、2021年度も新型コロナウィルス感染症の影響でインド・ゴア州に渡航して現地調査を実施することが不可能となった。しかし、論集Hanv Konnの書籍版が2021年8月に出版されたことを契機に、申請者を含む関係者が一堂に会する機会を持った。まず、2021年8月8日に出版記念イベントがオンラインで実施され、申請者もスピーカーの一人として本論集で提示された「自己語り」を通じた教育方法の持つ意義について語った。更に2021年11月27日にゴア大学社会学科と共催でMeet the Hanv Konn Authorsと題したセミナーを行い、寄稿者たちの経験を参加者と語り合う機会を持った。このセミナーはゴアの他大学で今後も実施予定である。 また、前年度に引き続き以下の作業を行った。(1)「自己語り」を通して可能となる個人と社会の変革が実際にどのような手法で行われているのかを明らかにするためのオートエスノグラフィー関連先行研究及びインドの高等教育関連先行研究のレビュー、(2)ゴア社会における「自己語り」の特徴を示すティアトル劇やインド系移民子女の高等教育関連戦略に関連してこれまでに収集した調査データの分析。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インドへの渡航は叶わなかったが、オンラインイベントを2回開催することができたため。インドの協力者との対話を実現し、今後のプロジェクトの進め方についても確認ができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
申請時に計画していたように実際にインド・ゴア州に渡航し、故Siqueira教授の教え子たちに対面でインタビューすることにより、彼の教育実践が教え子たちのその後の生き方に及ぼした影響を把握する。複数メディアを活用した発信については、デジタル・ストーリーテリングの手法を活用し、教え子たちの「自己語り」を動画の形にし、発信することを計画している。成果の公開については、これまでの研究成果を日本南アジア学会で報告予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響でインド・ゴア州への渡航が叶わなかったため、旅費を使用しなかった。来年度は旅費として使用予定である。
|