研究課題/領域番号 |
20K01211
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本田 洋 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50262093)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | コミュニティ / 韓国 / ローカリティ / マウルづくり / 活動家 / 自己統治 / 社会性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,2010年代初頭以降,韓国の各自治体で本格的に実施されるようになった「共同体作り」の展開,すなわち行政と市民団体/地域住民の緩やかな連携によるローカルなコミュニティ活動の設計と組織化を対象とした民族誌的記述・分析を通じて,脱工業化過程でのコミュニティの実践に関する先鋭的な事例を提示し,かつローカリティの構築に基づくコミュニティの再生産についての理論的視角を洗練させることにある。 当該年度は本研究の開始年度にあたるが,新型コロナ・ウィルスの感染拡大に伴う海外渡航制限措置と活動制限により,年度の当初から,国内外出張を伴う現地での資料収集が事実上不可能となった。代替手段として,ラポールが形成済みの機関についてのSNSを通じた資料収集を進めるとともに,オンラインでの先行研究の収集に特に力を入れた。実施計画の各項目ごとに実績概要を整理すれば以下の通りである。 ①後発事例に基づいた実践としての「共同体作り」の展開過程の究明:2018年度に設立された南原市直営の中間支援組織による支援事業について,2018~2020年度の具体的な活動報告を収集し,データベース化を行った。また南原市山内面を拠点とする代案的共同体運動についても,2020年度から遡る形で具体的な活動報告の収集を進めている。 ②脱工業化過程におけるローカル・コミュニティの再生産過程の究明:2019年度までに収集した資料と新たに収集した先行研究の整理・分析を通じて,「マウルづくり」と呼ばれる社会運動/政策事業の展開過程を再構成した。 ③「共同体作り」の理論的意義の探究:実施計画に展望として示した対話的コミュニティ論を踏まえつつ,ローカリティとローカルな主体の生産,規律化と自己統治,新自由主義と新たな社会性といった観点を導入して,コミュニテイ活動を担う行為主体に焦点を合わせた理論化を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,当初予定していた韓国現地での資料収集が不可能となり,また日本国内での資料収集も国内出張を実施することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度と同様にオンラインで可能な資料収集と整理・分析を進め,またこれと文献研究を併行して行いつつ,理論的な研究を前倒しで行う。韓国への渡航が可能となり次第,現地での資料収集を開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い海外出張と国内出張が困難となったため,旅費を執行することができなかった。代替手段として謝金を伴う補助業務を導入したが,今後もこれを継続しつつ,現実的に可能となり次第,国内外出張による資料収集を開始する。
|