研究課題
基盤研究(C)
本研究では,現代韓国における「共同体(マウル)作り」事業を通じたローカル・コミュニティの再構築を民族誌的に検討するとともに,その結果を踏まえて共同体理論の再検討を試みた。共同体作りの過程では,地域住民だけではなく行政・中間支援組織や活動家など,異質性の高い多様なアクターの相互作用によって様々な共同性が構想・想像され実践されており,またそのなかで従来とは異なるローカルな主体形成も進んでいる。これを捉える理論的枠組みとして「可能態としての共同体」を提示した。
社会・文化人類学,韓国社会の民族誌的研究
学術的な意義として,まず現代韓国社会におけるローカル・コミュニティの生成に関する最新の事例研究を行なったこと,ならびにこれを脱工業化の脈絡に位置づけて実践を通じた共同体の生成に関する理論的考察を洗練させたことを挙げられる。社会的意義としては,日韓の共同体運動や共同体活動において,自他の実践を省察的に捉え直すことの助けとなりうる認識枠を洗練させたことを挙げられる。