市営団地は2013年から高層住宅を中心とした再開発が行われている。新築当初から居住する住民の多くは老夫婦ないしは一人暮らしであり、高齢化率は40.6%と市内で最も高い。申請者の調査では、建設当初から団地二区に住み続けていたのは53世帯18.3%である。最高は40戸中11世帯の27.5%、次いで50戸中13世帯の26%である[宮内 2018a]。 建替えによる住み替えでは2DKにしか入居できないため家財道具を処分せざるを得ない。50年間近く生活した中で、何を新居に持って行くのだろうか。それは生活に何が必要な家財道具であるかを表すと考えられる。買い取り屋にめぼしい物を買い取ってもらい、不要な物は廃棄されている。ふとん、食器棚などが廃棄されていた。また、すべての住民が住替えできるわけではない。別の市営住宅に引っ越すのか、あるいは別の場所に住む子供との同居を選択した家族もいた[宮内 2020]。 弥永団地の宅地分譲、分譲住宅は500戸建設された[宮内 2018c]。住民の10軒に1人は福岡市職員と言われ、大手の会社に勤めるホワイトカラー層が住民の大半を占めた。分譲住宅は増改築が行われ、建築当初の住宅は10数軒確認できた。いつ増改築したのか、その理由、家族構成との関連についての聞き取り調査は実施できなかった。分譲住宅は約7割の住民が継続して居住しているが確認できた。それに対して、宅地分譲は約2割であることが確認された。その違いは不明である。高齢化率は44.3%と春日市で最も高い。更地や空き家も増加している。世代交代は可能なのだろうか。一戸建ての場合は土地が広すぎるのが障害となっているのだろうか。建替えの実態から考察したい。今後、これらの住宅がどのようになるのか、各自治体の政策、自治会の対策、住民の意識を明らかにする。
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