研究課題/領域番号 |
20K01223
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
土佐 昌樹 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (10237084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マルチサイテッド・エスノグラフィー / 国民的アイデ ンティティ / グローバル化 / 東アジア / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
1990年代以降、冷戦構造の崩壊やグローバル化の進行、移民の増加、さらに中国の台頭といった新たな動因が東アジア地域に潜在していた分裂的な傾向に決定的な作用を及ぼしている。それらの動因が集約的に現れる事例を通じてマルチサイテッド・エスノグラフィーの方法で比較的に省察し、東アジアの実存的・集団的アイデンティティの行方について深い分析を加えながら理論的一般化を図ることが本研究調査の目的である。 しかし、昨年度はコロナ禍による渡航制限が続き、海外現地調査をまったく実施できなかった。そのため、主に文献調査の方法に切り替え、その成果の一部を論文として発表した。また、当初は補完的な位置づけにあった東京新大久保地域の多文化コミュニティに対する関与を深めることができた。新大久保もまたコロナ禍による大きな打撃を受け、ピーク時には来訪者の大幅な減少を経験した。そうした状況ではあったが、折を見て通いながら、とくに新大久保商店街振興組合との関係を深めることができた。Youtubeを通じた地域情報の発信に共同参画し、その過程で5名(日本人2名、韓国人2名、ネパール人1名)のライフストーリー・インタビューを実施できた。まだ萌芽的な段階にあるが、うまく生産的な関係が築ければ、この企画は今後も続いていくと期待している。 予測できないパンデミックによりフィールドワークを主要な方法とする調査研究は大きな軌道修正を迫られたが、逆にこうした状況だからこそ見えてくるコミュニティの一面に目を向けることで、当初の研究目的に結びつくヒントも学ぶことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による渡航制限が続き、予定していた海外現地調査をまったく実施できなかった。同じような状況が続いた場合、研究計画の大幅な見直しが必要になる。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査を予定している韓国、中国、台湾では、まだしばらくは渡航制限が続くものと予想される。海外からの渡航を認めたとしても、2週間の隔離が続く限りは、現実には現地調査が不可能な状況が続くことになる。来年2-3月にもし渡航が自由化されたら集中的に調査を実施して昨年度の遅れを取り戻したい。それができない場合は、国内の多文化コミュニティに対する調査の比重を増やし、補完的な調査研究を進展させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で海外渡航が制限され、海外実地調査がまったく実施できなかったため。
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