研究課題/領域番号 |
20K01224
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研究機関 | 文化学園大学 |
研究代表者 |
糸林 誉史 文化学園大学, 服装学部, 教授 (60301834)
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研究分担者 |
林 在圭 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (80318815)
山崎 功 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (60267458)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 伝統染織 / 社会的ネットワーク / アクター・ネットワーク / 価値研究 / 経済人類学 / パブリックヒストリー / デジタルヒストリー / コミュニティアーカイブ |
研究実績の概要 |
本研究は、伝統染織の産品が安定・固定した弁別的特性を「内包している」と考えるよりも,事物とコモンを媒介する価値実践の過程が伝統産品の「真正性」そのものを作り上げていることを明らかにすることである。しかし、コロナ禍のため海外渡航と対面のインテンシブな聞き取り調査の実施が叶わなくなり、日本国内でのオンライン研究会に研究計画を限定することを余儀なくされたが、令和3年度はようやく対面での資料やデータの再分析と理論の整理に関する共同研究会を開催することができた。 1.媒介者と歴史的状況:「媒介者」とコモンの連関の解明のために、これまでに収集した3地域の資料だけではなく、新聞記事や雑誌などにも調査範囲を拡大して、伝統染織の真正性の構築にどのような媒介者(人・モノ) が関与し、役割を担ってきたのか,また地域的に分散した諸活動がどのように配置されたかを整理し、沖縄・韓国・マレーシアの伝統染織の流通過程と、生産組合の質的な側面を質的分析ソフト(Atlas ti)にデータを入力した。 2.オンライン研究会:毎月末に研究会を開催し、近年の欧米の経済社会学の研究動向とアクター・ネットワーク研究の実践例について報告して討議した。 3.デジタルヒストリーの検討:2000年代に英米を中心に台頭しているオープンヒストリーの研究事例の検討に着手した。2015年のアメリカ歴史学協会のデジタルヒストリーガイドラインの検討など、対面のインテンシブな調査以外の研究方法についての検討に着手した。 新型コロナの収束時期がまったく予測できず、海外2カ国の自由な行動や対面調査の計画の大幅な見直しを迫られる可能性が高い。その場合を想定しつつ、量的な調査資料やオープンデータの分析の利用の拡大やデジタルヒストリーの実践による非対面の社会調査方法の導入も考えていかざるを得ない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の継続のため韓国とマレーシアへの海外渡航と国内でも対面のインテンシブな聞き取り調査の実施が叶わなくなり、令和3年度も3地域の収集資料の再分析とオンライン研究会に研究計画を限定することを余儀なくされているため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍を逆手にとった研究計画と社会調査方法の大幅な見直しに着手したい。 具体的には、令和4年度はオープンデータ分析の利用の拡大や「デジタルヒストリー」の実践の検討を進めたい。2015年のアメリカ歴史学協会によってデジタルヒストリーガイドラインが公開されるなど、「デジタルヒストリー」が欧米の歴史研究で台頭しつつある。 令和4年度は、新たに「デジタルヒストリー」の実践を詳細に検討することで、本研究の目的に沿ったかたちで非対面の社会調査方法の導入だけではなく、パブリックヒストリーおよびコミュニティアーカイブ構築の日本での先進例となるべく積極的に「デジタルヒストリー」導入への検討を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため海外渡航と対面のインテンシブな聞き取り調査の実施が叶わなくなり、日本国内での3地域の収集資料の再分析と国内での研究会に研究計画を限定することを余儀なくされているため。
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