研究課題/領域番号 |
20K01225
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
碇 陽子 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (10791866)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ファット・アクティビズム / ジュディ・フリースピリット / インターセクショナリティ / クィア |
研究実績の概要 |
2022年度は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコのGLBT Historical Societyに所蔵されている、ファット・アクセプタンス運動に関係する資料収集とその分析を行った。なかでも1970年代から2010年まで、サンフランシスコ・ベイエリアにてファット・アクティビストとして活躍したジュディ・フリースピリット(Judy Freespirit)について、彼女がどのような経験をし、どのような活動をしてきたのかについて、残された手記や資料などを整理している。フリースピリットに注目する理由は、ラディカル・フェミニストとして活動を開始した彼女が、1969年に誕生したファット・アクセプタンス運動を、フェミニズムや障害者運動、LGBT運動などの文脈に引き寄せて、新たな展開を模索先導してきた人だからだ。現在のファット・アクティビズムが目指す方向を、ずいぶん以前から見据えていた。資料を調べるうちに、彼女はファット・アクティビストとしての活動が注目されやすいが、他にも、レズビアン、障害、DVサバイバー、ユダヤ教徒など複数の「非規範的」な要素を抱えて生きてきた人であったことが明らかになった。今後も引き続き、彼女の芸術活動や詩、脚本、エッセイ、小説などの作品、政治的主張等を通して、「ファット」における「クィアな生」とはいかなるものかについて明らかにしていきたいと考えている。この作業を通じて、肥満嫌悪の言説における規範的な身体、規範的な時間、さらには異性愛中心主義的な規範そのものを問い直すことができるのではないかと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度、2021年度は新型コロナ感染症の拡大により、予定していた出張ができず資料収集や現地調査が全くできていなかったため。2023年度は、その遅れた分を取り戻しつつ、研究成果をまとめることを目的としたい。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はすでに入手しているジュディ・フリースピリットの資料、および、関連する資料の分析にあてたい。必要に応じて、UCLA:Library Special Collections, Charles E. Young Research Libraryに所蔵されている資料収集に行く計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大に伴い、2020年度、2021年度に予定していた研究出張を全てキャンセルしたため、計画通りに使用することができなかった。本研究を2023年度まで延長したので、不足している研究調査を行っていく予定である。
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