本研究の目的はこれまで民俗学の中心的議論となってきた伝承概念を再構築し「学校のフォークロア」という新たな理論実践モデルを提示することである。そのために、本研究では主に沖縄の学校を中心とし、愛知、岐阜、三重、静岡、京都、福井の学校や神社仏閣も視野に含めながら、学校で行われる祭祀儀礼や祈願、合格祈願に関するフィールドワークを実施した。最終年度は、韓国のソウル市、坡州市の学校や寺でも合格祈願に関する調査を行なった。 結果、全体を通して、現代に特徴的な「地域学校融合型社会」の知の伝承のあり方や、日韓の合格祈願グッズ、合格祈願フード、合格祈願スナック、合格祈願に関する授与品の多様な実態を明らかにすることができた。特に沖縄を含む日本と韓国の合格祈願に関する俗信や縁起食物等は従来研究では学術の視点から総合的に捉えられてこなかったため、一定の成果はあったといえる。
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