• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

現代社会におけるアート化現象の人類学的研究:フェティッシュ、市場、モノの観点から

研究課題

研究課題/領域番号 20K01229
研究機関龍谷大学

研究代表者

青木 恵理子  龍谷大学, 社会学部, 教授 (40180244)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードアート / 人類学 / フェティッシュ / 市場 / モノ / 想像力 / 創造力 / 捏造力
研究実績の概要

新型コロナウイルスの世界的蔓延により、海外におけるフィールドワークばかりでなく、日本国内でのフィールドワークも自粛せざるを得なかった。日本の知的障がい者の作品は、欧米ではアールブリュットとして高く評価されているが、唯一できたフィールドワークは、関西にある二つの障害者施設への訪問であった。このような状況の中で2020年度は、文献研究、インターネット上の調査、オンライン研究会参加と主催、オンライン学会への参加、オンラインでのインタヴュー、論文の執筆、論文集の編集などを行った。特に、日本でも世界的にもほとんどなされていない、インドネシアにおけるモダンアートと現代アートについての調査研究を人類学の観点から行った。
研究成果は、1本の学術雑誌論文、1本の論文集掲載の論文、編著に携わった英語論文集、3つの学会における発表、(以上成果物参照)京都大学東南アジア学会主催のビジュアル・ドキュメンタリープロジェクトにおけるコメント、7回のアート関係研究会の主催、大学内での講演、ハンセン病元患者たちのアート作品の保存と展示を行っているキュレーターの招へいなどに結びついた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年の本科研費申請当時には想定できなかった新型コロナウイルスの世界的広がりにより、2020年度5月の交付申請書時期には、大幅に予定を変更せざるを得なかった。2020年度はじめには、フィールドワーク、特に、インドネシア、アメリカ、ヨーロッパなど、海外におけるフィールドワークが不可能になった。2021年2月以降、大学が春休みに入る時期には、パンデミックが終息することに望みをかけたがそれもかなわなかった。しかし、パンデミックの影響によりオンラインの利用が、世界的に推進され、多くのオンライン研究会や学会に参加し、いくつかの研究会を主催する機会を得た。また、オンラインを通じて、フランス・ナントにおいてアールブリュット関係の活動を推進している文化政策担当者、アメリカで活動する日本人の現代アート作家などと話し合うことができた。インターネットを利用することにより、アート活動の状況およびパンデミック下における、活動の変化を知ることができた。文献研究、学会発表、日本語論文や英語論文、英語の本の編集などを進めることができた。フィールドワークが不可能であったために生じた研究の遅れは、オンラインを介した上述のさまざまな研究活動の成果で、多少とも補えた。

今後の研究の推進方策

2021年度、2022年度は、文化人類学のアート研究を整理する傍ら、国際芸術祭、アートフェア、アートマーケットの動向に注目して研究を進める。特に、2022年予定されているドクメンタに関連する動向に注目する。ドクメンタは、ナチスによって退廃芸術として破壊された近代アートを復興しドイツの負のイメージを払しょくするために、カッセルというドイツの地方都市で、1955年からほぼ5年おきに開催されている現代アート芸術祭である。ここに出品されることにより、アートマーケットでの価値が付与されるといわれる。主催者は社会関与性を強く意識してもいる。2022年のドクメンタのチーフディレクターは、インドネシアのアートコレクティヴである。新型コロナウイルスによるパンデミックの収束が見られれば、インドネシアとドイツに行きフィールドワークを行う。フィールドワークが行えない場合は、オンラインなどを使って、調査、インタヴュー、研究会参加や主催などを実施する。
2023年、2024年度(もし可能ならば2025年度も)、当初計画していた、インドネシア、ヨーロッパ、アメリカや日本でのフィールドワークを、国際芸術祭、障がい者アート作成、美術館・民族学博物館、社会関与型アート活動、アートフェア、アートオークション、アートディーラー、伝統/現代アート活動、アート経験のない社会でのもの創りや音楽活動を対象に行う。

次年度使用額が生じた理由

申請時には、日本各地、インドネシア、ヨーロッパ、アメリカ合衆国でのフィールドワークを予定していた。しかしながら、2020年度が始まった時点では既に、新型コロナウイルスの世界的感染が見られ、フィールドワークを自粛するに至った。わずかに行えたフィールドワークは、近隣における日帰りのものであり、助成費申請には及ばなかった。フィールドワークに代わり、オンライン研究会を盛んに主催したが、交通費・宿泊費・謝礼などを支出する必要が発生しなかった。文献研究も充実していたと思うが、複数の図書館からの貸借、インターネット上の文献や、コロナ禍におけるアート状況の国際的な動向をwebサイトで調査することが主となったため、科研からの支出を発生させることなく遂行することができた。引き続く諸年度に、当初の計画通り、海外や日本でのフィールドワークができる可能性を見越して予算を先送りする決断に至った。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] アートには何が賭けられているか?:インドネシア離島村の視点から考える2021

    • 著者名/発表者名
      青木恵理子
    • 雑誌名

      社会学部紀要

      巻: 58 ページ: 3と16

    • オープンアクセス
  • [学会発表] アートには何が賭けられているのか?:アート隆盛の時代にインドネシア離島村の視点から考える2020

    • 著者名/発表者名
      青木恵理子
    • 学会等名
      日本文化人類学会
  • [学会発表] コメント「東南アジア映画は家族をどう描いてきたか」2020

    • 著者名/発表者名
      青木恵理子
    • 学会等名
      国際文化学会
  • [学会発表] もの創る人々の旅路と帰還:インドネシア・モダンアートとウローレス・ズパドリ村の家つくり2020

    • 著者名/発表者名
      青木恵理子
    • 学会等名
      東南アジア学会
  • [図書] Arts in the Margins of World Encounters2021

    • 著者名/発表者名
      W. de Jong, E. Aoki, J. Clammer
    • 総ページ数
      247
    • 出版者
      Vernon Press
  • [図書] 自前の思想2020

    • 著者名/発表者名
      清水展 飯嶋秀治 青木恵理子 他
    • 総ページ数
      444
    • 出版者
      京都大学出版会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi