研究課題/領域番号 |
20K01230
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浜田 明範 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30707253)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 集金 / 集団 / パーティー / 徒弟制 / 儀礼 / 部分的つながり / 経済人類学 / ガーナ |
研究実績の概要 |
2022年度も、COVID-19のパンデミックの影響を受け、ガーナ共和国南部での現地調査を実施できなかったため、過去に実施した現地調査で収集したデータの整理・再検討を行うとともに、経済人類学の先行研究を広く渉猟し、本研究課題の対象であるガーナ南部の「パーティー」の特徴を再定位する作業を行った。この際、特に、パーティーや葬儀といった集金実践における美的な側面に注目した。 ガーナ南部では、パーティーと葬儀の両者において、直接的な貨幣の移動だけではなく、そのプロセス自体が伴っていたり、その前後に行われる実践の美的な側面が非常に重視されている。人々は、このような美的な洗練は、より多くの人を集めるためのものであると説明する。人を集めることは貨幣を集めることと無関係ではないものの、独立した意義があると考えられているのである。そのため、パーティーや葬儀を壮麗に取り仕切る能力は、より多くの貨幣を拠出できることともに、望ましい人間のあり方のひとつの基準ともなっている。 これらの新たな発見について、その一部を論文集『アフリカ潜在力のカレイドスコープ』(晃洋書房)の第2章として出版した。同時に、2022年12月4日に立命館大学で実施した研究会「人と物の変転と浸透を考える」や、2023年3月3・4日に関西外国語大学で開催されたシンポジウム「アフリカの冒険的現代」、同14日から16日にかけて国立民族学博物館で開催された国際シンポジウム"Family Potential in Uncertain Times: Mobility, Technology, and Body"において、この点に焦点を当てて研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のパンデミックにより、当初予定していたガーナ共和国南部における現地調査を実施できなかったため、とりわけ、教会における集金実践についての調査に遅れが出ている。この問題点を克服するために、過去に収集した充実したデータのある葬儀とパーティーとの比較により重点を置くよう、方針の転換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前年度に引き続き、過去に行った現地調査で収集したデータを文献研究によって更新された理論的フレームワークにもとづいて、再解釈・再記述する作業を行う。同時に、2022年度に行った研究発表の内容を再検討・再整理しながら、引き続き、民族誌の執筆を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のパンデミックによってガーナ共和国南部での現地調査を実施することができなかったため、当初予定していた通りに予算を執行することができず、次年度使用額が生じた。
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