この研究の究極の目的は、アンデス山脈の高文明の繁栄に太平洋沿岸の海洋文化がどのように寄与し、それが現在どのような形で残存しているかの実態を解き明かするものであった。この研究のきっかけは、これまでの現地調査や民族画像の整理のなかで、山岳地方に海岸地方の品々や宗教儀礼などが見られたことである。そこでこの研究で現地調査をしてみると、アンデス高地と呼ばれる山間地なのに海の要素が検出でき、いくつかの文化要素は、山の文化の基層の重要な要素にもなっていることが分かってきた。この研究により、海の側から山の文化を見る眼差しの重要性が分かってきた。
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