研究計画において、①滋賀県内での調査(守山市の筌、長浜市の小原籠)、②文献調査(筌、籠の製作について市町村史、字史、博物館図録)、③その他地域での参考調査(内水面漁撈である「八郎潟漁撈用具」「最上川水系の漁撈用具」「江の川流域の漁撈用具」など)を挙げていた。 2020年度においては新型コロナウィルス感染予防のため、他県への移動や高齢者への接触が憚られたため、①と③を避けて、②の文献調査を中心に研究を進めた。まず、滋賀県内の市町村史、博物館関係図書、字史などの図書から筌、籠に関する資料調査を行い、データベースを作成した。その中で大正6年に滋賀県内務部が刊行した『滋賀県之副業』という図書があったため、内容をデータベース化するため、入力作業を行った。これにより、当時の滋賀県の副業としての手工業生産について把握することができた。また、筌製作については生産と使用状況を調査するため、内水面漁撈などに関する文献を収集している。2021年度においては①の現地調査を中心に行った。現地調査においては、長浜市の小原籠と秋田県のイタヤ細工を比較するため、現地に赴き、聞き取り調査を行った。また、日本国内においての籠製作についての文献調査も行った。 2022年度は引き続き滋賀県内の小原籠について現地調査を行った。また、県外の筌・籠製作について市町村史や博物館図録などを元に文献調査を行い、データベースを作成した。 今回の成果として、滋賀県の農閑期副業における籠や筌生産の現地調査を中心に日本国内の籠や筌生産についての文献収集を行い、データベースを作成することができた。
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