研究課題/領域番号 |
20K01241
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇田川 幸則 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80298835)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 現代中国法 / 台湾法 / 無子超高齢社会 / 少子超高齢社会 / 紛争解決と法 |
研究実績の概要 |
本研究では、無子超高齢社会という共通項をもつ日本、台湾および中国の比較をつうじて、無子超高齢社会に特有の紛争とその解決システムの特質ならびにその背景にある社会的な構造の異同を明らかにすることを目指す。中国ではすでに高齢者紛争に特化した解決システムが起動していることから、本研究ではその実態の把握と分析を中心軸に置きつつ、同じ背景を持ちつつそれとは温度差がある台湾と日本とを比較することによって、無子超高齢社会に特有の紛争とは何か、その解決システムにはいかなる特質があるのか、その背景にはいかなる社会構造の特徴があるのかの解明に取り組む。その上で、無子超高齢社会の紛争解決システムのみならず、紛争解決と法、ひいては法のあり方および無子超高齢社会の到来にともなうこれらの変化も析出することがきればと考える。 本年度も昨年度に引き続き、現有資料の精査とその補強に重点をおいて取り組んだ。具体的には以下のとおりである。(1)研究代表者がこれまでに個人で収集してきた資料の読解および整理を行った。(2)CNKIなどの有料データベースやインターネットを利用して、新たな資料の網羅的収集につとめた。なお、その際には中国・台湾在住の研究協力員のサポートを得た。(3)昨年度に引き続き台湾においてフィールド調査を実施した。(4)中国が新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策として続けてきた外国人に対する厳格な入国制限措置が緩和され、ようやくに中国でのフィールドワークならびに資料収集を実施することができた(北京、上海、南京)。高齢社会と法に関する研究機関の存在も判明し、現地での協力員を通じて同期間とコンタクトを取り、次年度に同機関およびその他の関係機関における現地調査および共同研究の実施を確約することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画調書にも記載したとおり、本研究を真の意味での実証研究とするためには、とりわけ情報統制の厳しい中国の実態を理解するためには、中国および台湾でのフィールドワークが欠かせない。昨年度は台湾渡航制限が、本年度は中国渡航制限が、解除され、フィールドワークがようやくに実施できる状況となった。しかし、中国でのフィールドワークが3年間実施することができなかった影響は大きく、このことが本研究の進捗に影響を与えている。幸いに一年間の延長が認められたことから、次年度は積極的なフィールドワークを展開し、予定どおりの研究成果を得るべく努力したい。
|
今後の研究の推進方策 |
過去3年度に引き続き、現有資料の精査とその補強に努めるとともに、次年度は中国を忠信に、積極的に現地でのフィールドワークを展開する。 研究最終年度であることから、研究成果を取りまとめ、年度末を目処に論文にして公表したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた現地でのフィールドワークならびに現地での資料収集が、新型コロナウイルスの全世界的な感染拡大にともなう所属機関からの海外渡航禁止および自粛要請ならびに各国の入国制限により実施を見送らざるを得なかったり、計画通りに実施できなかっため、次年度使用額が生じた。現在、研究対象国の全てで入国制限が解除されているので、予定していた現地でのフィールドワークは問題なく実施できる予定である。なお、海外協力員とは緊密に連絡を取りあっており、その実施に大きな障碍はないものと思料する。
|