研究課題/領域番号 |
20K01255
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福井 康太 大阪大学, 法学研究科, 教授 (00302282)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 士業専門職 / サービス競争 / 優位性 |
研究実績の概要 |
本研究は、司法制度改革後急増した弁護士および他の士業専門職との間におけるサービス競争の実態について、実証的かつ理論的に解明することを目的とする理論的・実証研究である。弁護士と他の士業専門職との間で、なお従来通りの棲み分けが保たれているのか、何らかのサービス競争が始まっているのか、サービス競争が始まっている業務領域があるとすればそれはどこか、その競争は価格競争なのか質的競争なのか、その違いを生む要因は何なのか、士業専門職の業務領域が重なり合っている場合に弁護士は果たして競争上の優位性を確保できているのか等について、実証的データに基づいて、理論的に解明する。 2020年度には、聞き取り調査(予備調査)を行うとともに、士業専門職のリピートユーザーである中小企業経営者を対象とするアンケート調査を実施する予定であった。しかしながら、実際には、新型コロナウイルス感染症が日本国内に拡がり、研究活動が停滞することとなった。まず、対面での聞き取り調査(予備調査)が実施できなかった。予備調査が実施できなかったことから、調査票の設計も未完のままに留まった。もっとも、理論的検討に関しては一定の進展をみている。専門士業に求められる専門性の高さと支払ってもよいとされる報酬との関係をグラフ化し、企業経営者のみた士業のニーズを視覚化するモデルを構築した。このモデルに基づいて調査票を当初計画していたものよりも精緻なものとして設計し、より精度の高いアンケート調査を実施することができる。この点は一つの成果である。今後はアンケート調査実施に向けてさらに準備を進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度中、新型コロナウイルス感染症が日本国内で拡がったために、大阪では2回にわたって緊急事態宣言が出され、さらに2021年4月現在3回目の緊急事態宣言が出されている。この宣言下、対面での聞き取り調査(予備調査)を行うことは憚られる状態となった。アンケート調査も十分な回収を見込むことができない状態となり、アンケート調査の準備も十分には進まなかった。この結果、2020年度の研究活動の中心となるはずのアンケート調査を実施することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
現在もまだ新型コロナウイルス感染症の問題は継続しており、2021年度中にこの問題が解消するとは思われない。このため、聞き取り調査はZoom等を用いたオンライン方式で実施することとする。アンケート調査についても、郵送主体を改め、ウェブアンケートを主体とした調査とする。その分サンプル数を増やし、回収数を確保することを目指す。 理論的検討については、対面での研究会の実施に代えてオンラインによる意見交換の機会を増やし、実質的な議論を深めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大によって、大阪では2回にわたる緊急事態宣言が出され、聞き取り調査(予備調査)およびアンケート調査を実施することができず、ほとんどの予算を繰り越すこととなった。2021年4月現在も、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が出されており、研究実施方法の変更は避けられない。まず、聞き取り調査については、調査をオンライン方式(Zoom等を使用)に変更し、協力先につぎの協力先を紹介してもらうやり方で実施する。アンケート調査はもともと郵送とオンラインアンケートの併用方式だったが、オンラインアンケートの比重を増やして調査を実施する。回収数が少なくなることをさけるため、サンプル数を大幅に増やす。昨年度からの繰越額は、調査会社から登録サンプルを購入するとともに、特任研究員を雇用して作業を進めるために用いる。
|