研究課題/領域番号 |
20K01321
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
関根 豪政 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (60736510)
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研究分担者 |
ウミリデノブ アリシェル 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (10774599)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デジタル貿易 / 一帯一路 / 自由貿易協定 / インフラ投資 |
研究実績の概要 |
代表者の関根は、自由貿易協定(FTA)におけるデジタル条項についての分析を行い、英語の成果として論文(書籍の1章分)を提出した(現在、編集作業中)。そこでは、“Data Free Flaw with Trust”概念におけるTrustについて焦点を当て、それがFTAの中でどのように展開しているかについて分析した。とりわけ、プライバシーの保護やソースコードの移転問題が議論の収斂に苦慮している様子を解析し、それを受けての合意の在り方について提案を行った。また、その研究成果の一部は、台湾が開催したセミナーにおいて口頭にて報告した。また、年度の後半からは、外国補助金に焦点を当てた研究を開始した。これは、企業結合における国家介入をEUが世界に先駆けて導入した規制であり、その運用が注目されることを受けて、研究に着手した。 分担者のウミリデノブは、インフラ開発におけるソフトローアプローチの研究をより深め、その成果を国際経済法の権威のあるジャーナルに論文という形で公表した。この研究では、中国の 「一帯一路」構想を既存の国際経済ガバナンスの枠内に従わせることに日本が寄与するか検証し、インフラ投資規制に関する日本のソフトロー外交が一定の結果を出していることを明確にした。また、2020年末に締結された中国・EU投資協定の関連文書が公開されたことを受け、中国における投資家保護と投資自由化についての研究を完成させ、脱稿させている。本研究の三本柱となっているデジタル問題については、成果の一部を2021年のSociety of International Economic Law のオンラインConversationで報告しており、今後は共通課題を掲げる国外の専門家らと成果を上梓する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外渡航に制限があるため、研究成果を国外で公表する、あるいは、国外の研究者と議論する機会の創出に限界があるものの、オンラインでの活動をある程度進めることはできた。また、研究成果については、一定のペースで公表することができている。そして、小規模の研究会は、昨年度に引き続き、定期開催できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度については、引き続き研究を遂行していく予定であるが、最終年度のため、これまでの研究成果を他者と共有・コラボレーションすることを意識していきたい。とくに、当初の予定と比べて、海外渡航や海外シンポジウムでの研究成果の討議が不足しているので、その点が強化できないか検討していく。研究者を招待して、(オンラインであっても)意見交換会の場を設けていくことの必要性を認識している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で旅費を利用しなかったことで残金が発生。次年度は、本年度と昨年度に実現することができていない海外での研究報告のための旅費として利用することを計画している。
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