研究課題/領域番号 |
20K01328
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 秀弥 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(法学), 教授 (30364037)
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研究分担者 |
平山 賢太郎 九州大学, 法学研究院, 准教授 (20376396)
板倉 陽一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 客員主管研究員 (20815295)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デジタル・プラットフォーム / 独占禁止法 / デジタル市場法 / EU競争法 / 反トラスト法 / 事前規制 / 自己優遇行為 / 不公正な取引方法 |
研究実績の概要 |
競争法によるデジタル・プラットフォーム(以下、DPFという)規制の動向と課題を明らかにするために、本研究はまず、動きが最も進んでいるEUに着目し、DPFを規制する新たな試みとしてのデジタル市場法(Digital Markets Act)を取り上げ、「ゲートキーパー」を核とするDPF規制の構造とその背景を論じ、当該法律が大手DPF事業者の競争規律に対しいかなる変化を及ぼすのかについて検討を行った(林秀弥「EUデジタル市場法案について」)。2022年11月に発効しているは事前規制であり、EU競争法及びP2B規則を補完するものであるが、その規制の対象や範囲、規制手法といった点で、事後規制のEU競争法との相違点が多々ある。今後、デジタル市場法がEU競争法の実務(とりわけ法執行の側面)にいかなる影響を与えるのかについて、さらに検証・分析を進める必要がある。 一方、米国のDPF規制に目を転じると、米国では、EUのデジタル市場法に相当するような法案が国会に提出されたが、いずれも成立には至っていない。しかし、大手DPF事業者に対する反トラスト法(連邦・州)訴訟が相次いで起こされており、事前規制がないみもかかわらず、事後規制の運用が盛んに行われていることは否めない。これに伴い、独占禁止法における消費者厚生基準をめぐる論争が再燃している。これまでの米国大手DPF企業の関わる訴訟と関連のDPF法案パッケージをまとめて分析し(林秀弥・荒井弘毅・巫昆霖「いわゆるBig Techをめぐる近時の米国反トラスト法の動向と今後の課題-シャーマン法2条の論点を中心に」)、米国District of Columbia v. Amazon事件を例に、DPF事業者による自己優遇をめぐる米国反トラスト法上の考え方を論じた(林秀弥「デジタル・プラットフォーム事業者による自己優遇行為と反トラスト法」)。
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