研究課題/領域番号 |
20K01329
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水島 郁子 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (90299123)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 労働法 / 医師の働き方 / オーストリア法 |
研究実績の概要 |
本研究は、働き方実行計画等が目指す将来の社会における労働法のあり方を探ること、いわばイノベーティブな共生社会における労働法を探求することを、将来の目的として掲げる。 その1つの切り口として、本研究では診療従事勤務医(医業に従事する、労働者である医師)に焦点をあてて、検討する。勤務医が超長時間労働に従事していることは周知の事実であるところ、医師への時間外労働の上限規制が適用される2024年に向けて、長時間労働を抑制することは喫緊の課題である。現在の問題点と議論の動向、勤務医の働き方の実状等につき、文献調査と、複数のシンポジウムへの参加・意見交換を行うことで、現状把握を行い、その結果、医療の現場でさまざまな積極的な取り組みが進められ、実践されていることを確認した。 EU指令は勤務医について労働時間上限規制を行っている。オーストリアはオプトアウトを行っていたが、今年、それを廃止することで、新たな法的課題が生じることが見込まれるが、令和2年度は、オーストリア労働法の文献を収集し、文献調査を開始するにとどまった。 そのほか、イノベーティブな共生社会に関する基礎的研究として、雇用社会の進展と将来像に向けた考察を行い、公表した。イノベーティブな共生社会では、労働者の安全と健康確保がいっそう重要な課題としてあらわれる。労働者の安全衛生に関する小論を公表し、労働基準法等のコンメンタールの、災害補償の箇所を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスにより、医師会等への協力を要請しがたく、オーストリアへの渡航の見通しが立たないため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度のオーストリア現地調査も困難であることが予想されるため、メールとzoom等でのヒアリングによる情報収集を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
社会情勢上出張を伴う調査ができなかったため。 取りやめた出張は、次年度に行う予定である。ただし、新型コロナウイルス感染症の拡大の状況によっては、書籍や報告書を購入し、文献調査を強化する。
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