研究課題
基盤研究(C)
多様化する働き方に公的年金がどのような対応をとるべきか。本研究は,まず社会保険法一般が働き方にどのような対応をとっているのかを確認した。その上で多様化する働き方の概要(自営化する雇用と雇用化する自営)の現状を踏まえて,被用者保険適用のメルクマールである使用関係と労働者性の相違に着目して研究を進めた。さらに雇用保険法が多様化する働きかたにいかなる対応を取っているのかを研究し,それが公的年金にどのような影響をもたらしているのかを検討した。
社会保障法
本研究課題が開始されて間もなくコロナ禍となり,図らずとも働き方の多様化が促進された。従来型の働き方に対応する公的年金制度の限界を確認すると同時に,社会変動の中でも経路依存的法制度の維持と安心の提供の必要性を再認識させるに至った。これは社会保障法における剛構造と柔構造のあり方の問題であり,個人の権利と持続可能性の両立を目指す方向性を維持するものであったといえる。特に公的年金においては次期財政検証による大幅な制度改正が予想されるが,社会保障法学上の法規範がその指導理念になりうることを確認した。