研究課題/領域番号 |
20K01333
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野田 進 九州大学, 法学研究院, 特任研究員 (90144419)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 就業者包摂モデル / 自営的就業者 / フランス労働法 / 労働契約 / 社会的対社会的対話 / フリーランフリーランス / プラットフォーム就業者 / フランチャイズ契約 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年の多様化した就業形態、特にデジタル機器を駆使した自営的就業やフリーランスの就業形態が世界規模で拡大する今日、労働法がこれらの就業形態を包摂する法体系に組み替えることを、「就業者包摂(convergence)モデル」と称して、フランス労働法の研究を通して規範構築を試みるものである。 2022年度には、本研究課題の成果の一部として、2020年度より執筆を進めてきた、フランス労働法の全体像に関する研究書の書き下ろしを完成し、『フランス労働法概説』(信山社、2022年12月)として刊行することができた。同書第Ⅱ編第1章(労働契約総論)では、フランス法における労働者生の決定(労働法の適用)方式が、「労働契約アプローチ」と「法適用アプローチに分けて相対的に理解され、硬直的な判断ではなく、劇団員、家事使用人、代理外商人という伝統的な就業形態とともに、フランチャイジー、プラットフォーム就業者、労働者協同組合の出資就業者といった人々についても、労働契約の存否とは別に、労働法の部分的適用を認める法制が確立しており、同書ではその具体的な法適用の実状を、判例動向もふまえて紹介し分析した。 以上の比較法的考察をもとに、2022年度には、セブン・イレブン・ジャパン事件(東京地裁令和4年6月6日判決)の研究を通して、コンビニ店主の労組法上の労働者性に関わる問題に取り組んだ。また、労組法上の労働者の団体交渉については、フランス法やEU法の進展を参考に、労働契約の存否とは別に広く「社会的対話」という概念に包摂される集団的交渉の方式を法的な規範論として引き続き検討する方向性を固めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で、海外および国内での研究が阻害されたが、リモート会議方式による意見交換である程度は研究不備を補うことができた。 一方、文献研究が中心となったが、2022年12月には、単著『フランス労働法概説』(信山社、2022年12月)620頁を発刊することができ、同書の中に本研究の成果をに組み入れ、研究を深めることができた。その意味では、研究成果として、いちおう順調な進展と評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長が認められた2023年度では、積極的に在外研究を実施し、それによりフランスでの実地の調査研究を行い、当地での研究者・実務家からの聞き取り情報や、現地資料等の入手に努めて、研究の深化を図ることとする。これらにより、これまでの研究を補充する成果を上げたい。 同時に、「就業者包摂モデル」の概念と内容を具体的に進展させ、特に事業場レベルでの多様な就業者を包摂した、「労働者」性にとらわれない労使間対話のあり方、すなわち「社会的対話」についても議論を展開させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、感染症の世界的流行により、2020年後および2021年度に引き続き、外国での調査や意見交換のための出張旅行が、ほぼ困難であり、旅費の使用が国内旅行に限定された。このために、旅費や人件費の使用ができなくなり、次年度使用額が生じたものである。 2023年度には、コロナ禍がかなり軽減され、外国への移動も通常の状況に近づいたので、外国での調査や意見交換がかなり容易になるとみられる。出張費を用いた、積極的な研究活動を実施する予定である。
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