本研究成果の学術的・社会的意義は、第1に、消費者の利益を守る法的介入の正当化根拠としての「取引の公正」概念に依拠しつつ、GAFAら巨大デジタルプラットフォームに対して、競争の観点から規制を行う独禁法を用いて介入すべき競争上の弊害やその内容が、理論とともに行為類型を含めてある程度特定することができた点、第2に、「公正性」という柔軟な概念をベースとして個別的問題に対する具体的な施策の方向性を可能な限り示したことから、今後消費者が直面すると考えられる、別の文脈での新たな社会的課題の解決策を提示するにあたっても応用あるいは転用が可能な理論的バックボーンを形成するのに(いくらかでも)寄与しうる点である。
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