研究課題/領域番号 |
20K01336
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
高田 清恵 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (30305180)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会保障法 / 高齢者福祉 / 老人福祉施設 / 養護老人ホーム / 低所得高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究は、介護保険法施行後の多様化した高齢者の住まいのなかで、これまで十分に学術的な検討の対象とされてこなかった措置施設である養護老人ホームに焦点をあて、その運用・運営実態を踏まえつつ、とりわけ低所得高齢者に対して適切な質と水準を備えた住まいおよび支援を包括的に保障するために、養護老人ホームと措置制度が果たすべき役割について、社会保障法学の観点から再検討を試みることを目的としている。 今年度は、第一に、文献研究として、前年度に引き続き、養護老人ホームの法的位置づけや役割の変化、措置制度をめぐる法改正の動向や学説状況について分析・検討を進めた。第二に、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本年度も、老人福祉施設等を訪問して聞き取り調査を行うことができなかった。その代替策として、低所得高齢者が多い沖縄県の全養護老人ホームを対象にアンケート調査を実施した。また補足的に、遠隔会議システムを利用して、各施設への聞き取りを実施し、その運営実態を把握するように努めた。第三に、市町村における措置制度の運用実態の解明に関しても、同様に現地での聞き取りは実施できなかった。そのため代替的に、沖縄県内の市町村および福祉事務所を対象にアンケート調査を実施して、実態把握につとめた。さらに、沖縄県の状況と比較するため、新たに九州、関西、関東地区の一部の養護老人ホームや自治体職員経験者等に対しても、遠隔会議システムを利用して聞き取りを行った。 これらの実態把握の中心的な部分は、前年度に行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今年度に振り替えて実施したものである。その関係で、当初は2021年度に実施予定であった老人福祉施設以外の多様な形態の住まいについての現状把握には着手することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、前年度に引き続き、文献研究として、措置制度や養護老人ホームをめぐる法制度・政策の変遷や学説状況に関する分析・検討を行い、老人福祉法にもとづく養護老人ホームの法的位置づけ・役割の変化や課題について分析・検討を進めた。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により前年度に実施できなかった、養護老人ホームと市町村を対象とする聞き取り調査については、今年度は代替的に、アンケート調査と遠隔会議システムを利用して聞き取りを実施し、主に低所得高齢者が多い沖縄県の状況について一定程度、実態を把握することができた。また、同県との比較検討のため、九州、関西、関東地区において特徴的な取り組みを実践する施設等からも、遠隔にて聞き取りを行うことができた。そして、これらの研究成果の一部について、養護老人ホーム等の高齢者福祉の現場で働く福祉・介護従事者らも多く参加する研究会で報告し、意見や助言の提供を受けた。 他方で、本来は今年度に行う予定であった、多様な住まいの実態把握については、着手することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、これまでに実施してきた養護老人ホームや市町村を対象とする聞き取り等の結果をふまえて、まだ十分に解明できていない点を中心に、現地調査あるいは遠隔での聞き取り等を行い、より正確に把握できるようにつとめる。 また、施設間や地域間での運用の違いを比較するため、対象を選定して聞き取りを行う予定である。また、2021年度に実施予定であった、低所得高齢者の実質的な受け皿となっている有料老人ホームやサービス付き高齢者住居等についても現状把握につとめ、養護老人ホームとの違いを明らかにする。ただし、聞き取り等の実施にあたっては、新型コロナウイルスの感染拡大状況、とくに高齢者施設等における高齢者への感染防止に十分留意して行うこととする。現地調査の見込みが立たない場合は、引き続き、代替的な実態把握の方法により行うこととする。 その上で、2022年度は、前2年度の研究成果をふまえて、措置制度の役割や契約制度との分担・連携のあり方、養護老人ホームの果たすべき役割や課題についての理論的な検討を行う。研究成果がある程度まとまった段階で、研究会等で発表して助言や指摘を受けるとともに、研究成果の一部を論文として公表したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度も、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、養護老人ホーム等の高齢者施設や自治体等を訪問して、現地での聞き取り調査を実施することができなかった。そのため、現地調査のために計上していた旅費を執行することができなかった。 これらの現地調査は、2022年度に実施する予定である。ただし、実施にあたっては今後の新型コロナウイルスの感染拡大状況、とりわけ高齢者施設等における感染等の状況を十分に考慮して行うこととする。状況次第では、代替的な実態把握のための費用へと振り替えることとする。
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