本研究の学術的意義は、介護保険法施行後、社会福祉学や社会保障法学においてほとんど着目されなかった老人福祉法上の措置制度および養護老人ホームに焦点をあて、目的や位置づけ、課題等について法的検討を行った点である。また、市町村や養護老人ホームを対象にヒアリング等を行い、運用実態の一端を明らかにした点にも意義がある。さらに、介護の必要性のほか、経済的困窮、虐待、認知症や精神疾患、矯正施設退所後や病院退院後などに住まいの確保が困難な高齢者など、多様な生活上の困難を抱えた高齢者が増加する中、住まいと介護、生活支援を一体的に提供する養護老人ホームの役割について再検討した点で、社会的意義がある。
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