研究課題/領域番号 |
20K01337
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
原田 啓一郎 駒澤大学, 法学部, 教授 (40348892)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活支援サービス / 介護保険法 / 介護予防・日常生活支援総合事業 / 住民主体 / 社会参加 |
研究実績の概要 |
3年計画の2年目となる2021年度は、住民主体による生活支援サービスの法理論の構築に向けた基本的視座を得るために、介護予防・日常生活支援総合事業における住民主体による生活支援サービスの実施のあり方と利用関係の把握・検討を中心に、次の3点に取り組んだ。 第1に、介護保険法における地域支援事業の特徴と性格について、医療保険各法における保健事業と比較しながら検討を行った。これにより、介護保険法における地域支援事業の特殊性を確認するとともに、理論的課題の整理を行うことができた。 第2に、住民主体による生活支援サービスの具体的な取組例の把握を試みた。本年度は、訪問型の生活支援サービスの事例に着目し、支援団体・有償ボランティア・利用者間の支援をめぐる関係の実態把握を行い、生活支援サービスの利用関係の整理・分析を行った。収集できた事例は少ないが、組織マネジメントの視点からの課題等、今後の法的検討に向けた新たな課題が浮かび上がった。 第3に、フランスの法制度を参照しながら、比較法的視点から検討を行った。まず、昨年度に引き続き、住民等が主体的に活動を行う組織と福祉行政との関係について、フランスの社会福祉法制を中心に、基本文献の収集及びその検討を通じて、全体像の把握を行った。次いで、住民等が主体的に活動を行う組織が対等な官民協働関係を構築するための法的論点や課題の整理を行った。この点については、次年度も継続して検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目となる本年度の研究目標は、住民主体による生活支援サービスの実施のあり方と利用関係の実態把握を行うことと、住民等が主体的に活動を行う組織と福祉行政との関係について、フランスの法制度を参照しながら、比較法的視点から課題の整理・検討を行うことであった。このうち実態把握については、限定的であったが、訪問型の生活支援サービスを行う枠組みや課題を把握することができた。また、住民等が主体的に活動を行う組織の制度的検討については、昨年度より継続して検討を行い、本年度は比較法的視点から新たな論点を把握し、課題の整理を行うことができた。これらを通じて、次年度の実態分析及び比較法的分析につながる知見を獲得することができた。本年度はこれら研究成果に関連する成果の一部を公表している。 本年度は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着かず、現地ヒアリング調査と海外での研究調査を当初の予定通りに実施することが難しかったが、文献調査等により、可能な限り補いながら本年度の研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2022年度は、住民主体による生活支援サービスの質の確保に向けた法的統制のあり方について、比較法的視点から検討を行うことを予定している。また、新型コロナウイルスの感染状況をみながら、特色のある自治体や住民組織への現地ヒアリング調査を実施し、地域の実情に応じて対象・内容が異なる生活支援サービスの運営実態とその特徴の把握を引き続き試みる。そして、3年間の検討で得られた成果をもとに、住民主体による生活支援サービスの法理論の構築に向けた基本的視座の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着かず、現地ヒアリング調査と海外での研究調査を当初の予定通りに実施することができなかった。これらの調査に関連する支出予定相当分が次年度使用額となっている。新型コロナウイルスの感染状況をみながら、次年度使用額を使用して各調査を実施する予定である。
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