研究課題/領域番号 |
20K01345
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
西岡 正樹 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (40451504)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 刑法学 / 責任論 / 刑罰論 |
研究実績の概要 |
本研究は、わが国の現行刑法典に存在している併合罪加重規定を研究対象とする。同時審判の可能性がある数罪の処理については、わが国のみならず、諸外国においても様々な対応がなされており、各国が採用する処断方法も区々である。例えば、ドイツ、スイス、オーストリアのドイツ語圏刑法は、「行為者の責任を基礎として(あるいは行為者の責任に応じて)量刑を行う」旨の規定を持ちながら、同時審判の可能性がある数罪について、いずれも異なった処断方法を採る。このような対応の相違は何処に求められるのであろうか。 本研究は、諸外国との比較法研究を基礎として、わが国の併合罪加重規定が理論的に正当化し得るかについて批判的に検証するという見地から、当該規定が孕む問題点を抉り出し、併合罪へのあるべき対応策を提示することを目的とするものである。 本研究の初年度である令和2年度は、刑事責任論に関する研究代表者のこれまでの研究を下地として、併合罪加重の根拠について先行研究を踏まえつつ再検証することによって、現行の併合罪加重規定が行為責任論の見地からは正当化困難であることを理論的に明らかにすることを計画していた。 令和2年度は、上記の研究計画に従い、主としてわが国における併合罪加重をめぐる学説・判例の展開と、それらに関する先行研究の再検証に取り組んだ。ただし、未だ十分な再検証が行われていないため、今後継続して再検証を行い、わが国の現行併合罪加重規定の理論的正当化の肯否について一定の帰結を得たい。その結果得られた研究成果については、令和3年度に論文の形で公表したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度に世界を席巻したコロナ禍の影響により、学内の授業対応および学内行政に大幅に時間を使用せざるを得なくなり、本研究課題が当初の計画通り進捗しなかった。研究代表者自身の時間管理が不手際であったかも知れず、反省点として今後改善していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で本研究課題の進捗状況が「やや遅れている」こともあり、令和3年度は、当初計画していた令和2年度の研究を早急に完遂し、令和3年度に予定していたドイツ語圏刑法における実在的競合規定に関する理論的検証を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、学会が中止あるいはオンライン開催となり、また資料収集も困難となったことで「旅費」が未使用となり、次年度使用額が生じた。 令和3年度についても、既に学会の一部がオンライン開催となることが決定しており、旅費を減額した上で請求した助成金の範囲で、令和3年度の当初研究計画を完遂したい。
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