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2020 年度 実施状況報告書

捜査活動と公正な裁判を受ける権利の保障―欧州人権条約6条をめぐるEU諸国の対応

研究課題

研究課題/領域番号 20K01346
研究機関名古屋大学

研究代表者

宮木 康博  名古屋大学, 法学研究科, 教授 (50453858)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード公正な裁判を受ける権利 / 捜査
研究実績の概要

本研究では、捜査活動と欧州人権条約6条1項の定める公正な裁判を受ける権利との関係性を分析・検討し、いかなる捜査活動が公正な裁判を受ける権利を侵害するのか、侵害があった場合の法的帰結はいかなるものになるのかについて、理論構造の解明を目的としている。公正な裁判を受ける権利についての文献は少なくないが、公判に至るまでの捜査機関による活動が、いかなる場合に公正な裁判に影響を与えるのかについて理論的な繋がりを検討したものは少ない。そこで、初年度においては、EUにおける公正な裁判の捉え方を理解すべく、文献の収集を行うとともに、判例を収集し、そこで現れた捜査との関係に着目して整理をすることに努めた。ただし、現段階では、集められた多くの判例は、たとえば、嫌疑なきおとり捜査のような場合に、公正な裁判を受ける権利を侵害することが所与のものとされているかのような記述が多く、なぜそのような関係性を導くのかについては、十分な理論的根拠が得られていない。文献においても、同様の感がある。そのため、欧州人権条約6条1項の規定の趣旨をさらに掘り下げた文献を収集することが不可欠であり、いかなる事情が公正な裁判を受ける権利の侵害を導くのかを明らかにすることが課題である。上記判例では、捜査の違法を理由に公正な裁判を受ける権利の侵害を構成しているというわけではないように見受けられる。すなわち、検討した判例では、捜査の適否を認定していない。このことからは、捜査が違法でなくても、あるいは、違法を認定しなくても、公正な裁判を受ける権利を侵害するとの論理があることになる。欧州人権条約6条の公正な裁判を受ける権利とほぼ同内容を定める国際人権規約(14条)を批准しているわが国においても新たな理論的展開が期待されるため、その点を明らかにしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナの影響の下、現地調査ができなかったが、文献の収集はおおむね順調に進んでいる。ただ、上記でも述べたが、まだ満足のいく理論的根拠が示された文献の収集には至っていないため、分野を広げて進める必要がある。

今後の研究の推進方策

まだ文献収集が十分ではないところがあるが、それと並行して、手続の打ち切りという強い法的効果を生じさせる公正な裁判を受ける権利の侵害をいかなる事情が導くのかについての分析。検討を進めていく。現地調査は困難な状況にあるが、これまで通り、オンラインを用いて克服したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

繰り越しは、旅費がまったく使用できなかった点に尽きる。この点は、今年度に現地調査等を実現したいと考えている。

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公開日: 2021-12-27  

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