犯罪捜査の対象者による、捜査上の処分の実施に対する同意について、その存否や、有効性の判断のあり方について検討した。対象者が処分の実施を知ることのできる場合と、処分の存在を知らないまま処分が実施される場合とでは、特に後者において同意の機会も対象もないという意味において同意を認める契機がないため、同意に基づいて強制性を否定する理由がないと解する一方、明示的になされる処分の存在を知っている対象者との関係では、制約を受忍すべき権利ないし利益の所在について認識があれば、例えばその主体が捜査機関であることを知らずに同意をしたとしても、その有効性は失われず、処分は強制的になされたものとはいえないと指摘した。
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