研究課題/領域番号 |
20K01350
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田淵 浩二 九州大学, 法学研究院, 教授 (20242753)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 直接主義 / 展示証拠 / 司法面接 / 刺激証拠 / 録音・録画記録媒体 |
研究実績の概要 |
研究は文献研究とオンライン研究会における報告によって進めた。その結果、2021年度は次のような研究実績を上げることができた。 (1)ドイツにおける直接主義と証拠の優先順位の関する議論として、近時の録音・録画記録媒体の証拠顕出ルールに関する議論を詳細に分析し、論稿として一応とりまとめた。論稿は、さらに修正を必要な追加修正を施ししつつ研究最終年度に順次、大学の紀要に連載する形で公表していく。 (2)本研究課題に関連するテーマとして、2021年3月に一橋大学大学院法学研究科が主催して開催した日中刑事訴訟法オンライン・シンポジウムにおける展示証拠の利用ルールについての報告を論文として取りまとめ、同シンポジウムの成果として2022年3月に出版された著書の論稿として公表した。 (3)日本の実務における録音・録画記録媒体による立証の必要性が争点となった事例のひとつとして、司法面接における録音・録画記録媒体の証拠使用をめぐる事例研究を行い、2022年4月に発売された法律専門雑誌において公表した。 (4)アメリカのベスト・エビデンス・ルールの研究と関連するテーマとして、近時、日本において議論になっている刺激証拠の証拠顕出ルールをめぐる判例研究を、2022年4月に法律データベースのオンライン・コンテンツとして公表した。 (5)2022年2月に刑事訴訟法の教科書を執筆し、その中において本研究テーマの体系的位置づけを明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
録音・録画記録媒体の証拠使用の優先順位をめぐるルールの比較研究や日本における事例研究を行ったほか、刺激証拠の証拠使用ルールをめぐる判例研究も行うことができ、一定の研究成果を得ることができたものの、刑事訴訟法の教科書執筆に予想以上の時間を要し、2021年度中に予定していたドイツ法の研究成果の公表を、無理せずに最終年に遅らせることとした。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツ法の直接主義と証拠顕出の優先順位に関する研究成果を公表する。アメリカ法のベスト・エビデンス・ルールの研究成果を取りまとめ、公表する。国内の研究課題に関連する判例研究に取り組み成果を公表する。日本における証拠使用の優先順位をめぐる議論の法的位置づけを理論的に明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究会がオンライン開催であった関係で旅費が不要となり、物品費による執行の充当したが、若干残額が発生した。次年度請求分の物品費に含めて使用する。
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